出会いの話「やだあああああおうちかえるううううああ!!」
4歳の頃の記憶。
お爺ちゃんの里帰りに初めて連れて行ってもらった時、来るなり泣き喚いた。周囲には見たこともない化け物がうようよいて、山を歩いて歩いて、身体を叩きつける冷たい風と砂の礫、それから逃げるように入った天幕は薄くて寒くて、砂埃に汚れている。土と砂に塗れた真っ黒な手で「アリクくん」て触られるのが怖かった。
いくら泣いても豪快な母親は笑ってばかりで、父が折れて一日だけ早めに帰らせてくれたのを覚えている。
「お爺ちゃんもいっしょに帰るうう!!」
「お爺ちゃんは余生はこっちで暮らす、またおいでアリク」
「やだああああ!!」
何が嫌だって、お爺ちゃんとまた会うにはこの地獄のような場所に行かなくてはいけない、ということだった。それも知らずに周囲は可愛い可愛いと言っていた。こんな非文明的な生活をしている奴らに僕の心はわからない、そんなこともまた悲しくて泣いたのだった。
3498