理由がないと会いたいも言えない 『きさまの古典のノートは預かった。返して欲しければやっくんちの最寄り駅のコンビニ集合』
風呂上がり、何気なく見たスマホには通知が一件。
いやいや、古典て。明日提出の課題あるじゃねえか、なんで俺のノート誘拐されてんだ、と首を傾げて、思い出す。そう言えば今日の古典の授業のあと、ノート写させてって言われて貸したままだった。あのやろう……! と夜久衛輔は黒いトサカ頭を思い浮かべて舌を打った。
送信時間をみると現在の時刻より45分前。飛び上がって、濡れている頭もそのままに、家を飛び出した。衛輔こんな時間にどこ行くの、という母親の声に、すぐ帰る! とどなってしまったから、後でこってり怒られること間違いない。それもこれも全部あいつが悪い。
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