大人ごっこふと目を覚ますと、午前0時過ぎ。隣にいるはずの体温がなく、俺は慌てて辺りを見渡した。
すると、窓から神々しい月明かりが差し込み、そこに人影を見つける。彼女だ。ブランケットを羽織り、ぼんやりと月を見上げる姿は、贔屓目に見ても美しいと思えた。
俺は彼女の体温が恋しくなり、ベットから抜け出すと、小さな身体をブランケットごと包み込む。項にリップ音をたて、口付けると、彼女はくすぐったそうに笑う。
「ふふ…もう、擽ったいよ」
「起きたらいなかったから、びっくした」
「ごめんね。月すごく綺麗で見たくなっちゃって」
「あぁ…確かに…」
今日、月はこんなにも綺麗だったのか。そんなことすら気づかないほど、最近の自分は切羽詰まっていた。専門学校の課題、モデルの仕事に追われ、今日ようやく彼女と会うことが出来た。
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