『ナグシン未満』 ##『ナグシン未満』
「シンくん、しよーよ~」
――来た。
今日も今日とてやって来た南雲にハァと一つ溜息をつく。毎日毎日、拒絶するだけではちっとも変わらない状況に、今日のシンは違う対応をした。
「なんで、俺なんだよ」
拒絶以外を喋ったシンに目をまあるくした南雲もまた、「しよーよ~」以外の言葉を吐く。
「身近でー、ヘンに隠したり嘘ついたりしなく良くてー、溜まってそうなうち、僕の好みに合うから?」
大好きな坂本くんの家じゃあ、一人だってそんなことしづらいでしょ?
訊いたことを後悔しそうなほど下らなかった理由が返ったことに、シンは頭痛を覚える。
「ほか当たれ」
「えっ、事足りてるわけないよね?」
キミなんかに恋人がいるわけないし、どこかで調達できるような感じもないよね?
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