人喰い鮫の話【数年前、ローズタウンの近海に化け物が居た。
それは海から現れて、海にいる人を攫っては食い殺していた。
人々は化け物を恐れ、海へ近付くのを止めた。
するとどうだろう。化け物は夜な夜な陸へと上がり、人を攫うようになった。
ピチャ、ピチャ、と海水を滴らせ。海の生き物が故に陸は息苦しいのか、浅い呼吸を繰り返し。
その夜化け物に目をつけられた運の悪い獲物は、そのまま抵抗も出来ず連れ去られ、海の藻屑と消える。
人々は毎夜怯えながら眠りについていた。
そんなある日、近海に何処かから海賊が現れた。金色に光る鋭い目をした灰色の子分鮫達と、暗い口の中に子分と同じ金色の瞳を持った奇妙な姿の青い親分鮫。
人々はまた悩みの種が増えたと頭を悩ませた。
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