エイハブ船長×スターバックさん 始まりはスタッブの一言だった。
この日は1日の中で鯨を3頭も獲ることができ、ピークォッド号では景気よく宴が開かれていた。皆が酒を手にし歌を歌い、はしゃぎ騒いでいた。いつもはすぐに自室に引き篭もる船長であるエイハブもこの日は宴に顔を出しており、とはいえ隅の壁に背を預けながらいつものような険しい顔を解く事無く静かに酒を飲んでいるだけだったが、とにかく皆が上機嫌にハメを外していた。
一等航海士であるスターバックは酒でハメを外しすぎるという事はしないが、それでもいつもより酒を飲み、笑顔で周りの者と談笑をしていた。人格者であるスターバックを慕う者は多く、彼の座る周りには共に酒を飲もうと人が集まる。そんな人混みを掻き分け、二等航海士のスタッブがパイプを吹かせながらスターバックの隣に「よっ」と腰を下ろし、その肩に肘を乗せた。
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