地獄絵図/宇宙へ「いつかの頃、楽園や理想郷とは何か。議題として流行った時代があった。桃源、パライソ、まほろば、マヨヒガ、君達の国の言葉でさえ天国にさまざまな言い方があるが。私たち軍人は少なくとも、良き時代、良き国を作る為に戦っている。そう自分に言い聞かせて、また、パイロットの誇りにかけて戦ってきた。一国の軍人である前に、一人の戦士として母国の為に戦ってきた。非戦闘員の民間人だった君でさえ、きっとそこに何かの生き甲斐や意味を感じた為に、戦い続けたのではないかね、アムロ君」
「天国とは、地獄とは何か」
敵兵が物陰に潜み飛び出してくる。私は撃った。
一面が焼け野原で、炎を吐く家屋の上に煙が立ち昇っていた。風が吹くたびに真っ赤な火が靡き、広がる。崩れた瓦礫はまるで針の筵だ。
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