pa_rasite
DOODLEクレタス誕生日おめでとうね生まれてこなければ死なずに済んだ人も大勢いたけれど
バタークリームで彩られたバースデーケーキが床に落ちて、無惨に砕けていた。カラフルなチョコチップやチョコスプレーがクリームと共に散って、ひどく甘ったるい匂いが一室に充満していた。割れた風船。散り散りになった紙吹雪。全てが煩わしくクレタスの気分を害していた。そのベタつく香りを上塗りするかのように感じるのは鉄っぽい生臭さだった。赤、ピンク、青、黄、緑とクレヨンの箱を開けたようなカラフルなケーキの残骸に、ねっとりとした血が流れていく。
小さな薄い掌で握ったナイフは不釣り合いな程に大きく、柄に指が回りきらない。血と脂で滑るそれはうっかりすると手から滑り落ちてしまいそうだった。幾分と低くなった己の視界より更に下に位置する、今し方ナイフで鳩尾を刺した相手を見下ろした。男か、女かさえも分からないほどにその存在は不明瞭だった。ぼんやりとした影にしか見えないそれの肉を切り開き、内臓を刺し貫く感触はしっかりと感じていたのに、その相手が誰であるかも分からない。
2612小さな薄い掌で握ったナイフは不釣り合いな程に大きく、柄に指が回りきらない。血と脂で滑るそれはうっかりすると手から滑り落ちてしまいそうだった。幾分と低くなった己の視界より更に下に位置する、今し方ナイフで鳩尾を刺した相手を見下ろした。男か、女かさえも分からないほどにその存在は不明瞭だった。ぼんやりとした影にしか見えないそれの肉を切り開き、内臓を刺し貫く感触はしっかりと感じていたのに、その相手が誰であるかも分からない。
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DOODLEpixivにアップしてたの引っ込めたのでこちらに過去ログ37首に指を這わせる。汗で濡れた肌の下に脈を感じる。息を吸えば喉仏も上下し、そのまま指を首に回して締め付ければ気道は塞がり息は詰まる。そうするのに理由があった。くっきりと鮮明な悪夢のせいだ。ふー……と辟易としたため息を漏らしながら首を指で撫でる。きちんと自分の首がつながっているのを確認すれば額を抑えた。頭を丸ごと食い潰される夢などクレタスは一度も見たことがない。それも到底人間ではない怪物にだ。はっきりと覚えているのはその怪物に自分の頭が丸呑みにされる瞬間のこと。牙が柔らかい首に食いこみ骨を噛み砕いた音を聞いた。食いちぎったクレタスの首を嚥下する音も。その瞬間の記憶を辿れば、そうなる直前に浴びた雨粒の感触まではっきりと思い出せた。
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