はずみ
供養再掲+手直し。幼稚園時代、個性発現前の幼なじみがお絵描きをする話。
フィーリングです。
わたしのえ 真っ白い画用紙に、みっちりとたくさんの人が並ぶ。
だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
1727だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
はずみ
供養再掲手直し。ブロマンス。
かっちゃんと、デクくんと、縁日の型抜きの話。
いつかどこかの縁日で 砂糖と澱粉で出来た板を、真剣に爪楊枝で掻く。
板には、オールマイトのシルエットが薄く掘られていた。凹凸とカーブが多く、細いところもたくさんある難易度の高い型だ。板自体もそこそこ脆いから、ほんの少しのミスで欠けてしまう。
指先に集中して、かりかりと溝を深くしていく。普段は見惚れる逆三角形の胸板が、今は少し憎い。なんとか削り終わって、板から生じた粉を吹き飛ばした。細くだが、板の向こうに天板が見える。さて次はどこを削ろうかとあたりをつけていたところへ、至近距離から、聞き慣れたブツブツ声が流れてきた。
「そこ難しいよね。オールマイトのトレードマークだから妥協はできないけど髪の根っこと毛先が細いからどうしたって削った時の負荷がそこに」
1176板には、オールマイトのシルエットが薄く掘られていた。凹凸とカーブが多く、細いところもたくさんある難易度の高い型だ。板自体もそこそこ脆いから、ほんの少しのミスで欠けてしまう。
指先に集中して、かりかりと溝を深くしていく。普段は見惚れる逆三角形の胸板が、今は少し憎い。なんとか削り終わって、板から生じた粉を吹き飛ばした。細くだが、板の向こうに天板が見える。さて次はどこを削ろうかとあたりをつけていたところへ、至近距離から、聞き慣れたブツブツ声が流れてきた。
「そこ難しいよね。オールマイトのトレードマークだから妥協はできないけど髪の根っこと毛先が細いからどうしたって削った時の負荷がそこに」
はずみ
供養コンビニ店員のモブさんが見た、「🥦のカードを自引きしたい🧨」の話。SSR OFAヒーロー デク 近所に大手ヒーロー事務所がある関係で、勤務先のコンビニは稼働率が高い。
犯罪率は下がってきたが、事故や災害の頻度にはあまり変化がない。そのためか、くだんのヒーロー事務所は夜でも煌々と灯りがついている。
だから、深夜になると、よく事務所のサイドキックたちが夜食やアメニティの買い出しにやってくるのだ。
多い時は十数人分の商品をまとめて買っていくから、今夜もホットスナックや弁当類が売れるだろう。
深夜のピークを見越して陳列作業をしていると、ふ、と視界の端を人影がよぎった。
ツンツンとした金髪に、吊り上がった赤い目。
コスチュームの生地から浮き出た筋肉の凹凸。。
大戦の英雄にして、最近まで落ち気味だったチャートを急速に駆け上がってきた復活の代名詞。
1520犯罪率は下がってきたが、事故や災害の頻度にはあまり変化がない。そのためか、くだんのヒーロー事務所は夜でも煌々と灯りがついている。
だから、深夜になると、よく事務所のサイドキックたちが夜食やアメニティの買い出しにやってくるのだ。
多い時は十数人分の商品をまとめて買っていくから、今夜もホットスナックや弁当類が売れるだろう。
深夜のピークを見越して陳列作業をしていると、ふ、と視界の端を人影がよぎった。
ツンツンとした金髪に、吊り上がった赤い目。
コスチュームの生地から浮き出た筋肉の凹凸。。
大戦の英雄にして、最近まで落ち気味だったチャートを急速に駆け上がってきた復活の代名詞。