Warren79768
MOURNING一瞬支部にあげてたけど没にしたイゾ誕の以晋冬のこども 2月14日といえばみんな浮き足立って、たったひとりから送られるありがとうを心待ちにしている。女傑はこの日のためにチョコレート作りに励み、豪傑はお返しの趣向を凝らす。皆々負けず嫌いだから、今日という日はこぞってとっておきを披露するので、施設中がにぎやかになる。その雰囲気は華々しくて見ていて楽しい。斯く言う僕も、誰にも負けないとっておきのお返しを渡したつもりである。
サーヴァントにとってマスターは特別な存在だけども、ここまでくると人柄が成せるわざとしか言いようがない。あの岡田君ですら、今日はマスターの部屋で飲むのが恒例だからと、僕の誘いも断って行ってしまった。生前からイベント毎になるとタイミングが合わないことが多い僕は慣れたもので、それならしょうがない、そうやってバツが悪そうな顔をした彼を見送って、今は一人で留守番しているところだ。
4786サーヴァントにとってマスターは特別な存在だけども、ここまでくると人柄が成せるわざとしか言いようがない。あの岡田君ですら、今日はマスターの部屋で飲むのが恒例だからと、僕の誘いも断って行ってしまった。生前からイベント毎になるとタイミングが合わないことが多い僕は慣れたもので、それならしょうがない、そうやってバツが悪そうな顔をした彼を見送って、今は一人で留守番しているところだ。
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MOURNINGハッピーオメガバースの以晋没にした理由は会社説明会の福利厚生ビデオみたいだったから
オメガバ 以蔵の部屋は敷きっぱなしの万年床が床のほとんどを占めており、ハッキリ言って足の踏み場もないので、マスターは靴を脱いであがったことはない。用事があっても玄関止まりで、立って話すか、上がり框に座って話すかのどちらかである。以蔵も気の知れた相手といえど、年頃の少女を整頓されているとは言い難い部屋にあげるのは思うところがあるらしく、無理に酒を飲ませようとすることはあっても無理に部屋に連れ込むことはなかった。
その日マスターは用事があって以蔵の部屋の前を通りかかったので立ち寄って、いつものように靴を履いたまま框に座り話をしていた。
するとチャイムも鳴らずに扉があいて、マスターは驚いた。誰かと思えばそこにいるのは高杉だった。
2115その日マスターは用事があって以蔵の部屋の前を通りかかったので立ち寄って、いつものように靴を履いたまま框に座り話をしていた。
するとチャイムも鳴らずに扉があいて、マスターは驚いた。誰かと思えばそこにいるのは高杉だった。
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MOURNINGわりと初期に書いた爪がテーマの以晋(つきあってない)ネイルケア 桜貝のような爪とはよく言ったものだ。以蔵は高杉にシミュレーターの使い方を教えながら、彼の手元を見て驚いた。
「なんじゃ高杉、おなごみたいな爪しちょるの」
以蔵はダイヤルを調節している高杉の手をとって、まじまじと見た。
小指の小さな爪に至るまで、十ある爪はみな均一な山を描いている。表面はつるつると滑らかで、血色のよい淡い桃色だった。健全かつ綺麗だが、およそ武士とは言えない手だ。
「ああ、これか」と高杉は大したことではないという風に言った。「ちょっとな」
しかし以蔵には、見れば見るほど不思議であった。「はー、わしの爪とはまったく違うが」以蔵は自分の爪を横に並べて見比べた。血色の良さでは負けていないが、端々が欠けて、表面もでこぼこ、手の大きさがそう違うわけでもないから、よくもまあここまで差が出たものだ。石ころとビー玉くらい訳が違う。
2939「なんじゃ高杉、おなごみたいな爪しちょるの」
以蔵はダイヤルを調節している高杉の手をとって、まじまじと見た。
小指の小さな爪に至るまで、十ある爪はみな均一な山を描いている。表面はつるつると滑らかで、血色のよい淡い桃色だった。健全かつ綺麗だが、およそ武士とは言えない手だ。
「ああ、これか」と高杉は大したことではないという風に言った。「ちょっとな」
しかし以蔵には、見れば見るほど不思議であった。「はー、わしの爪とはまったく違うが」以蔵は自分の爪を横に並べて見比べた。血色の良さでは負けていないが、端々が欠けて、表面もでこぼこ、手の大きさがそう違うわけでもないから、よくもまあここまで差が出たものだ。石ころとビー玉くらい訳が違う。