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DONE【左寂】先生受2の企画 #先生と夏休み 参加作品
一つ前のとうっっっすら繋がってます
#先生と夏休み扇風機の風が風鈴を揺らし、チリンと乾いた音が響いた。先日中華街で購入したそれは和風のこの部屋では少し浮いているが、寂雷は気に入っているらしい。
「処暑も過ぎたのに、暑いね」
そう言いながら寂雷が長い髪を一つに纏める。その項は日焼けを知らない白さで、左馬刻が小さく唾を飲み込んだ。
「そうだ、左馬刻くんの好きなアイス、買ってあるよ」
並んで座っていたソファから寂雷が立ち上がり冷蔵庫に向かう。左馬刻は伸ばそうとした手をそっと下ろした。
「そういえば、線香花火があるんだ。後でやらないかい」
「線香花火か…いかにも夏、だな」
手渡された白い棒アイスを齧る。ソファに座り直して同じようにアイスを食べている寂雷を見て、左馬刻はさっき疼いた腹よりも、もっと深い心の奥底が満たされていくのを感じた。
363「処暑も過ぎたのに、暑いね」
そう言いながら寂雷が長い髪を一つに纏める。その項は日焼けを知らない白さで、左馬刻が小さく唾を飲み込んだ。
「そうだ、左馬刻くんの好きなアイス、買ってあるよ」
並んで座っていたソファから寂雷が立ち上がり冷蔵庫に向かう。左馬刻は伸ばそうとした手をそっと下ろした。
「そういえば、線香花火があるんだ。後でやらないかい」
「線香花火か…いかにも夏、だな」
手渡された白い棒アイスを齧る。ソファに座り直して同じようにアイスを食べている寂雷を見て、左馬刻はさっき疼いた腹よりも、もっと深い心の奥底が満たされていくのを感じた。
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DONE【左寂】先生受2の企画 #先生と夏休み 参加作品
#先生と夏休み来月分の勤務表を見ながら、端末の共有スケジュールを開いた。既に書き込まれている左馬刻くんの予定は×がいくつか。○や△を書き込んでいくうちに、一箇所だけ○が続いて×が無い日程を見つけた。もしかしたら連休を一緒に過ごせるかもしれないな、と思ったところで、端末の画面が着信表示に変わる。耳に当てると機嫌の良さそうな声が響いた。
『よお先生、スケジュール見たぜ。
連休、どっか行きたいとこあるか?』
「そうだね…ヨコハマを、ゆっくり回りたいな。案内してくれるかい?」
そう言うと電話の向こうが少し静かになり、ふっと笑ったような気配がした。
『当然だろ。楽しみにしとけよ』
それから二言三言交わして電話を終え、勤務表をしまうついでに手帳を取り出しカレンダーに印を付けた。
393『よお先生、スケジュール見たぜ。
連休、どっか行きたいとこあるか?』
「そうだね…ヨコハマを、ゆっくり回りたいな。案内してくれるかい?」
そう言うと電話の向こうが少し静かになり、ふっと笑ったような気配がした。
『当然だろ。楽しみにしとけよ』
それから二言三言交わして電話を終え、勤務表をしまうついでに手帳を取り出しカレンダーに印を付けた。
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DONE【左寂】#先生と夏休み 参加作品
8p折本「さざ波に寄り添って」の前日譚です。
「さざ波に寄り添って」は以下から無料ダウンロードできます。
BOOTH(https://mixnuts.booth.pm/items/3093413)
※9/11までを予定
#先生と夏休み『青い空、白い雲!夏休みの方も多いと思われますが、皆様いかがお過ごしでしょうか』
釣具を手入れしながら流していたテレビからそんな声が聞こえてきて、漠然とそちらに目を向ける。光るような眩しい青空にもくもくと沸き立つ白い入道雲。いかにも"夏"といった雰囲気の映像に、ふわりと心が浮き立つ。
(青と、白…左馬刻くんの色だな)
そんな考えが自然と浮かび、心臓がきゅうと疼く。無性に彼に会いたくなってきて、アプリのスケジュール帳を開いた。
「次の休み…この日なら夜は空いてるな。ヨコハマか…」
電気ウキに一度電池を入れて、問題なく点灯することを確認する。赤い光は左馬刻くんの鋭い眼光を想起させるが、彼の真紅の方が美しい。あの紅に惹きつけられているのだと…この想いを告げてみたらどのような反応をするだろうか。
363釣具を手入れしながら流していたテレビからそんな声が聞こえてきて、漠然とそちらに目を向ける。光るような眩しい青空にもくもくと沸き立つ白い入道雲。いかにも"夏"といった雰囲気の映像に、ふわりと心が浮き立つ。
(青と、白…左馬刻くんの色だな)
そんな考えが自然と浮かび、心臓がきゅうと疼く。無性に彼に会いたくなってきて、アプリのスケジュール帳を開いた。
「次の休み…この日なら夜は空いてるな。ヨコハマか…」
電気ウキに一度電池を入れて、問題なく点灯することを確認する。赤い光は左馬刻くんの鋭い眼光を想起させるが、彼の真紅の方が美しい。あの紅に惹きつけられているのだと…この想いを告げてみたらどのような反応をするだろうか。