かもめ
DOODLE過去作。フォロワーさんのイラストからインスピいただきました。20200816
【hrak】No.280の切+芦炎から少し離れた場所に下ろされて、硬化していない足で枝葉が混じった森の地面を踏む。靴が燃え落ちてしまっていることに、今更のように気がついた。
「助かった!」
「はいよ!」
短いやりとりを交わすと、取蔭は身体を再生させながら戦火の中に戻っていった。まだ火の中にいる仲間を回収するためだろう。火を防げる"個性"の者や、取蔭のように移動手段に長けた"個性"の者が率先して、炎の中に取り残されていた仲間たちを誘導しているようだ。
炎と煙の向こうに「歩く災害」の小山のような図体が見える。次第に動きが鈍くなっていき、ずぶずぶと地面に沈む様子は映画か何かのように非現実的だった。
悪夢のように黒い煙を上げる炎の中から、仲間たちが少しずつ避難してくる。誰が誰だか判別できないような煙の中で、切島はひと組の人影によろよろと歩み寄った。ひとりは炎の赫色を鈍く反射する色をしている。もうひとりは粘性の高い溶液に全身を覆われている。鉄哲と芦戸だ。
988「助かった!」
「はいよ!」
短いやりとりを交わすと、取蔭は身体を再生させながら戦火の中に戻っていった。まだ火の中にいる仲間を回収するためだろう。火を防げる"個性"の者や、取蔭のように移動手段に長けた"個性"の者が率先して、炎の中に取り残されていた仲間たちを誘導しているようだ。
炎と煙の向こうに「歩く災害」の小山のような図体が見える。次第に動きが鈍くなっていき、ずぶずぶと地面に沈む様子は映画か何かのように非現実的だった。
悪夢のように黒い煙を上げる炎の中から、仲間たちが少しずつ避難してくる。誰が誰だか判別できないような煙の中で、切島はひと組の人影によろよろと歩み寄った。ひとりは炎の赫色を鈍く反射する色をしている。もうひとりは粘性の高い溶液に全身を覆われている。鉄哲と芦戸だ。