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DOODLE[風信&南風✈️] パイロットAU。今度はぱったりと出会わなくなって、しんなりしちゃう南風と、しょんぼりしちゃう風信機長。 神様はいったいなにがしたいんだろう。
風信機長のことが気になりだしてから、やけにその姿を見つけてしまい動揺していたら、今度はぱたりと、すれ違うことすらなくなった。フライトの予定も見事にずれている。とはいえ変わりやすいパイロットのスケジュール、ひょっこり出会うこともあるかもしれないと、空港のロビーを心持ちゆっくり歩いてみたり、社内の共有スペースを意味もなくウロウロしてみたりしてしまう。そして、そんないじましい自分に溜息が出てしまう。その姿を見ることすらないだけで、自分はこんなに気落ちしてしまうのかと。
南風の気持ちを映したかのように、このところ、どんよりとした天気が続いていた。
「今日も雨か……」
5171風信機長のことが気になりだしてから、やけにその姿を見つけてしまい動揺していたら、今度はぱたりと、すれ違うことすらなくなった。フライトの予定も見事にずれている。とはいえ変わりやすいパイロットのスケジュール、ひょっこり出会うこともあるかもしれないと、空港のロビーを心持ちゆっくり歩いてみたり、社内の共有スペースを意味もなくウロウロしてみたりしてしまう。そして、そんないじましい自分に溜息が出てしまう。その姿を見ることすらないだけで、自分はこんなに気落ちしてしまうのかと。
南風の気持ちを映したかのように、このところ、どんよりとした天気が続いていた。
「今日も雨か……」
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DONE[風信&南風✈] パイロットAU。様子がおかしすぎる南風の、風信さんSideバージョン。こっちもだいぶ拗らせてます。
自分でもおかしいという自覚はある。
「キャプテン?」
隣の副操縦士の視線に我に返る。
「あ……失礼。そうだな、その場合は少し高めの高度をリクエストして——」
急いで頭をフライトに戻す。
その見慣れた姿が横を通っていく前に感じたのは、いうなれば一種の気配のようなものだった。
パイロットとして勘が鋭い自信はある。だが、運行中のそれとは違うものだった。
通っていった横顔は、その予感通り南風だった。南風は、斜め前のパソコンの前に立った。やってきたキャプテンと確認を始めるその後ろ姿を、見るともなく視界のすみに捉えてしまう。キャプテンが頷く。どうやら、いつも通り有能にこなしているらしい。教官でもないのに、どこか誇らしく感じてしまう自分に驚く。
3143「キャプテン?」
隣の副操縦士の視線に我に返る。
「あ……失礼。そうだな、その場合は少し高めの高度をリクエストして——」
急いで頭をフライトに戻す。
その見慣れた姿が横を通っていく前に感じたのは、いうなれば一種の気配のようなものだった。
パイロットとして勘が鋭い自信はある。だが、運行中のそれとは違うものだった。
通っていった横顔は、その予感通り南風だった。南風は、斜め前のパソコンの前に立った。やってきたキャプテンと確認を始めるその後ろ姿を、見るともなく視界のすみに捉えてしまう。キャプテンが頷く。どうやら、いつも通り有能にこなしているらしい。教官でもないのに、どこか誇らしく感じてしまう自分に驚く。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] パイロットAU。風信さんを意識しちゃって、だいぶ様子がおかしいなんぽん。
ウラとして風信さんバージョンもある予定。
自分でもおかしいという自覚はある。
たまに、不意に感じとってしまうのだ——風信機長の気配を。
その日もそうだった。フライト前、ブリーフィングに向かうために廊下を歩いていると、不意に感じた。数分前に風信機長が通った気配を。
部屋に入った途端に見つけた。テーブルの前に立ってコンピューターの画面を前に副操縦士とフライトの確認をしている後ろ姿を。あの長い脚とがっしりした肩と腕、少し明るい色の髪、南風にとっては見間違うことのない後ろ姿。
向こうもブリーフィングの真っ最中だ。声はかけず横を通り過ぎ、そして斜め前の席のコンピューターのスイッチを入れる。いつも通り、気象状況やルートの確認をする。時折後ろから漏れ聞こえる風信機長の声に気を取られないようにしながら。同乗するキャプテンが現れ、一緒に今日のフライトの確認が始まった。
2341たまに、不意に感じとってしまうのだ——風信機長の気配を。
その日もそうだった。フライト前、ブリーフィングに向かうために廊下を歩いていると、不意に感じた。数分前に風信機長が通った気配を。
部屋に入った途端に見つけた。テーブルの前に立ってコンピューターの画面を前に副操縦士とフライトの確認をしている後ろ姿を。あの長い脚とがっしりした肩と腕、少し明るい色の髪、南風にとっては見間違うことのない後ろ姿。
向こうもブリーフィングの真っ最中だ。声はかけず横を通り過ぎ、そして斜め前の席のコンピューターのスイッチを入れる。いつも通り、気象状況やルートの確認をする。時折後ろから漏れ聞こえる風信機長の声に気を取られないようにしながら。同乗するキャプテンが現れ、一緒に今日のフライトの確認が始まった。
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DONE[南風&扶揺✈] パイロットAU南扶ちゃんたち。珍しく雪が積もった日、ある出来事のせいで傷心の扶揺の家にやってきた南風。 朝、窓を開けた扶揺は小さく息をのんだ。
見慣れた窓の外の景色が、どこも真っ白く覆われている。雪が積もるかもしれないという天気予報は当たったらしい。この暖かい地では珍しい雪景色は、いつもなら淡泊な扶揺の心すら躍らせる。だが、今日はそんな景色すら、心の重しを軽くしてはくれなかった。
冷気に肩をすくめ、窓を閉める。もう一度ベッドに潜り込んだところで、枕の脇に置いたスマホにメッセージの通知が表示される。南風だ。
『雪、すごいな。欠航だし午後休みとっちゃった。お前は?』
欠航になったからって休むか? と白目をむく。扶揺は今日は元から休みだ。そう返すとすぐに返信が返ってくる。
『じゃ、午後にお前のとこ遊びにいく。なんか食べたいものとかあるか?』
4509見慣れた窓の外の景色が、どこも真っ白く覆われている。雪が積もるかもしれないという天気予報は当たったらしい。この暖かい地では珍しい雪景色は、いつもなら淡泊な扶揺の心すら躍らせる。だが、今日はそんな景色すら、心の重しを軽くしてはくれなかった。
冷気に肩をすくめ、窓を閉める。もう一度ベッドに潜り込んだところで、枕の脇に置いたスマホにメッセージの通知が表示される。南風だ。
『雪、すごいな。欠航だし午後休みとっちゃった。お前は?』
欠航になったからって休むか? と白目をむく。扶揺は今日は元から休みだ。そう返すとすぐに返信が返ってくる。
『じゃ、午後にお前のとこ遊びにいく。なんか食べたいものとかあるか?』
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DOODLE[FengQing✈] 風信&慕情パイロットAU。バレンタイン風南のおまけ後日談。根回しのお返しを要求される風信機長。
夜、家に帰った風信は、コートを脱ぐのも早々に鞄のチャックに手を伸ばした。
いつもは、その日のレシートやら買った菓子やらすべて入れっぱなしのまま鞄を開けずに床に置いてそのままだが今日は違った。
鞄から箱を取り出し、ソファに腰かけて見つめる。口元が緩む。
ロンドンに彗星のごとく現れた若いショコラティエ。ベルギー仕込みの確かな技術とユニークで斬新なアイデアの融合——。ネットの記事の特集で読んでからずっと気になっていたそのチョコレートが今、自分の手の中にある。だが、そのショコラティエには悪いが、風信の心を今躍らせているのはその中身だけではない。
南風が自分に買ってきてくれたチョコレート。蓋を開けると甘い香りが誘うが、食べるのが勿体なくて蓋を戻す。しばらくその表面をぼんやりと指で撫でたあと、風信はチェストの上にそっと飾るようにその箱を置いた。
2193いつもは、その日のレシートやら買った菓子やらすべて入れっぱなしのまま鞄を開けずに床に置いてそのままだが今日は違った。
鞄から箱を取り出し、ソファに腰かけて見つめる。口元が緩む。
ロンドンに彗星のごとく現れた若いショコラティエ。ベルギー仕込みの確かな技術とユニークで斬新なアイデアの融合——。ネットの記事の特集で読んでからずっと気になっていたそのチョコレートが今、自分の手の中にある。だが、そのショコラティエには悪いが、風信の心を今躍らせているのはその中身だけではない。
南風が自分に買ってきてくれたチョコレート。蓋を開けると甘い香りが誘うが、食べるのが勿体なくて蓋を戻す。しばらくその表面をぼんやりと指で撫でたあと、風信はチェストの上にそっと飾るようにその箱を置いた。
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DONE[風信&南風✈] パイロットAU。バレンタインデー。とある仕事で一緒になったあと、はからずも(?)プレゼントを渡しあうみたいな流れになった二人。※バレンタインなのに、くっつきません
「座談会……ですか?」
怪訝な顔で聞き返す南風に、広報担当職員がにこやかな顔で頷く。
「はい、今度、機内誌の記事用にいろんな職種の人たちで集まって座談会をすることになりまして。副操縦士として抜擢されました、おめでとうござ……」
「いや、あの、なんで僕……話なんてできないですけど」南風がおもわず遮る。
「そりゃあ、若手の有望株ですし、それに——」ぐっと南風の耳元に口を寄せる。「見栄えも、しますしね」
「は……?」思わず身を引いた南風の頬が赤くなる。
「あ、そういえば、風信機長にも声かけてますので」
風信の名を出せば南風が断らないと知っているのだろう。だがどちらにしろ南風に拒否権はなかった。
「では、再来月の14日、よろしくお願いします!」
6239怪訝な顔で聞き返す南風に、広報担当職員がにこやかな顔で頷く。
「はい、今度、機内誌の記事用にいろんな職種の人たちで集まって座談会をすることになりまして。副操縦士として抜擢されました、おめでとうござ……」
「いや、あの、なんで僕……話なんてできないですけど」南風がおもわず遮る。
「そりゃあ、若手の有望株ですし、それに——」ぐっと南風の耳元に口を寄せる。「見栄えも、しますしね」
「は……?」思わず身を引いた南風の頬が赤くなる。
「あ、そういえば、風信機長にも声かけてますので」
風信の名を出せば南風が断らないと知っているのだろう。だがどちらにしろ南風に拒否権はなかった。
「では、再来月の14日、よろしくお願いします!」
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DONE[FengQing] 慕情なきあと、ある鬼を倒しにいく風信のお話。※原作軸ですが、原作とは連動していません。
「将軍……! もう無理です!」
悲痛な声に風信は振り返った。南陽殿の優秀な神官たちが地面に倒れ込んでいる。意識がない仲間を背負って自らも体を引きずるように後ずさる者。刀でなんとか体を支えている者。どの神官の顔も恐怖と諦めに歪んでいた。
風信は前を見ずに一気に二本の矢を射ながら叫んだ。
「わかった! 一旦、上天庭へ戻って援軍を——」
放たれた矢を受けて、鬼が叫び声を上げる。
「逃げるぞ!」神官の一人が風信の後ろを指さした。風信はくるりと振り向くともう一度矢をつがえながら後ろへ叫んだ。
「お前たちは戻れ!」
「将軍!」
神官たちの叫び声を置いて、風信はひらりと空中へ飛び上がった。
逃がしてなるものか。
こいつは俺の手で仕留めるのだ。
6656悲痛な声に風信は振り返った。南陽殿の優秀な神官たちが地面に倒れ込んでいる。意識がない仲間を背負って自らも体を引きずるように後ずさる者。刀でなんとか体を支えている者。どの神官の顔も恐怖と諦めに歪んでいた。
風信は前を見ずに一気に二本の矢を射ながら叫んだ。
「わかった! 一旦、上天庭へ戻って援軍を——」
放たれた矢を受けて、鬼が叫び声を上げる。
「逃げるぞ!」神官の一人が風信の後ろを指さした。風信はくるりと振り向くともう一度矢をつがえながら後ろへ叫んだ。
「お前たちは戻れ!」
「将軍!」
神官たちの叫び声を置いて、風信はひらりと空中へ飛び上がった。
逃がしてなるものか。
こいつは俺の手で仕留めるのだ。
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DOODLE[FengQing✈️]パイロットAUどうしても空きがなくて仕方なく玄真航空に乗ったら、見事に慕情の便だった風信機長。
「風信様ですね。お荷物はこちらお一つでしょうか?」
「は、はいっ……」
グラウンドスタッフに頓狂な声で答えてしまい、風信は思わず咳払いでごまかした。
何も悪いことなどしていないのに、なぜ空港カウンターでこんな犯罪者のようにどぎまぎしないといけないのだ。見ないようにしないようにしようとすればするほど目に入ってくるロゴから目を逸らす。いつもの南陽航空のロゴではなく目の前にあるのは——ライバルたる玄真航空のロゴ。
ツイていなかったとしか言いようがない。休暇先から急に呼び出されたものの、この休暇シーズン、直前で空いている便などない。同僚に頼み込んでみたものの、どうあがいても、南陽航空も他の航空会社も空きはなかった。ただひとつ奇跡的に空いていたのが、なぜか玄真航空だったというわけだ。
2749「は、はいっ……」
グラウンドスタッフに頓狂な声で答えてしまい、風信は思わず咳払いでごまかした。
何も悪いことなどしていないのに、なぜ空港カウンターでこんな犯罪者のようにどぎまぎしないといけないのだ。見ないようにしないようにしようとすればするほど目に入ってくるロゴから目を逸らす。いつもの南陽航空のロゴではなく目の前にあるのは——ライバルたる玄真航空のロゴ。
ツイていなかったとしか言いようがない。休暇先から急に呼び出されたものの、この休暇シーズン、直前で空いている便などない。同僚に頼み込んでみたものの、どうあがいても、南陽航空も他の航空会社も空きはなかった。ただひとつ奇跡的に空いていたのが、なぜか玄真航空だったというわけだ。
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DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。休憩室のソファで映画見ながら寝落ちた二人。彼シャツ案件みたいなのがやりたかっただけ。
夕日も落ちて、夜が始まろうかという時間の休憩室。しんとした静けさと薄闇に満ちた室内に入った風信は、眉間を揉みながら大きな溜息とともにソファにどさりと腰かけた。
だがその途端、尻の下に何かぐにゃりとしたものを感じ、風信は思わず飛びすさった。
「……いっ……!」
「ぎゃっ……!」
ソファの上でなにかがむくりと起き上がる。
「……南風?」「風信機長??」
ソファの端に身を引いて目を丸くしている顔をまじまじと見つめる。
「すまん、全然気が付かなかった。足、大丈夫だったか?」「はい……」
「どうしたんだこんな真っ暗なところで」
「ちょっと休憩を……って、風信機長こそ、電気つけずに……」
まあ確かにそうだな、と思いながら風信はシャツを脱いで下に来ているTシャツ一枚になると、だらりと背中をソファの背に預けた。
2491だがその途端、尻の下に何かぐにゃりとしたものを感じ、風信は思わず飛びすさった。
「……いっ……!」
「ぎゃっ……!」
ソファの上でなにかがむくりと起き上がる。
「……南風?」「風信機長??」
ソファの端に身を引いて目を丸くしている顔をまじまじと見つめる。
「すまん、全然気が付かなかった。足、大丈夫だったか?」「はい……」
「どうしたんだこんな真っ暗なところで」
「ちょっと休憩を……って、風信機長こそ、電気つけずに……」
まあ確かにそうだな、と思いながら風信はシャツを脱いで下に来ているTシャツ一枚になると、だらりと背中をソファの背に預けた。
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DONE[風信&南風✈] パイロットAU。この間の、隠れて泣いている南風を見つけてしまった日の夜。風信さんの家でべしょべしょに泣く南風……
⚠️暴言を吐くパワハラ上司がいます
フライトを終えて戻ったら一番にやりたいこと、それは熱いシャワーをたっぷり浴びることだ。
風信にとってそれは、フライト先でも家でも同じだった。だがやはり長距離のフライトのあとは自分の家のシャワーが一番だ。明日はオフだし映画でも見ようかなどと考えながらタオルで髪を乾かしていると、テーブルに置いたスマホの着信音が鳴った。
南風だ。タオルを肩にかけてタップする。チャットメッセージ画面が現れる。
『今日はすみませんでした。ハンカチは洗って今度お返しします』
備品室の隅で肩を震わせていた姿を思い出す。
『気にしなくていい。大丈夫か?』と返信を返す。少し間があって吹き出しが現れる。
『大丈夫だとおもいます』
しばらく指が逡巡したあと、返信を打つ。
5343風信にとってそれは、フライト先でも家でも同じだった。だがやはり長距離のフライトのあとは自分の家のシャワーが一番だ。明日はオフだし映画でも見ようかなどと考えながらタオルで髪を乾かしていると、テーブルに置いたスマホの着信音が鳴った。
南風だ。タオルを肩にかけてタップする。チャットメッセージ画面が現れる。
『今日はすみませんでした。ハンカチは洗って今度お返しします』
備品室の隅で肩を震わせていた姿を思い出す。
『気にしなくていい。大丈夫か?』と返信を返す。少し間があって吹き出しが現れる。
『大丈夫だとおもいます』
しばらく指が逡巡したあと、返信を打つ。
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DOODLE[風信&南風✈️] パイロットAU。ある朝突然、空港の麻薬探知犬と入れ替わってしまったっぽい南風。探知犬ハンドラーのモブ君視点。
隅々までありえなさ120%なので、頭をカラにしてお読みください🙇
「今日はどうしたんだ?」
覗き込んだケージの中にいるのは、黒の雄のラブラドール。麻薬探知犬の彼は、ハンドラーの自分の相棒だ。まだ探知犬になって一年ほどだが、訓練の時から落ち着いた優秀な犬だった。だが、今朝ケージに来ると、ケージの中をうろうろ歩き回り床のあちこちを嗅いでいる——まるで見知らぬところに来たように。
だが、餌の皿を置くと、匂いを嗅いでいつもどおりすぐに平らげたので、体調が悪いわけではないらしい。
「さあ、今日も仕事だぞ」
ケージから出し、空港へ向かう。
リードを引いて税関を行きかう客とスーツケースの間を歩きまわる。朝は心配だったが、荷物を次々に嗅いでまわる様子はいつも通りで安心する。
だが、突然ピタリと止まり、空気の匂いを嗅いだ。何か見つけたのかと緊張する。と、突然リードを引っ張られた。
2523覗き込んだケージの中にいるのは、黒の雄のラブラドール。麻薬探知犬の彼は、ハンドラーの自分の相棒だ。まだ探知犬になって一年ほどだが、訓練の時から落ち着いた優秀な犬だった。だが、今朝ケージに来ると、ケージの中をうろうろ歩き回り床のあちこちを嗅いでいる——まるで見知らぬところに来たように。
だが、餌の皿を置くと、匂いを嗅いでいつもどおりすぐに平らげたので、体調が悪いわけではないらしい。
「さあ、今日も仕事だぞ」
ケージから出し、空港へ向かう。
リードを引いて税関を行きかう客とスーツケースの間を歩きまわる。朝は心配だったが、荷物を次々に嗅いでまわる様子はいつも通りで安心する。
だが、突然ピタリと止まり、空気の匂いを嗅いだ。何か見つけたのかと緊張する。と、突然リードを引っ張られた。
noa/ノア
DONE[FengQing] 現代で同棲しているフォンチンAUです(神官ではなく一般人です)。ある日、突然姿を消した慕情。
※全年齢、ネタバレなし
いなくなった慕情 家の中が、やけに静かだ。
日曜の朝、目を覚ました風信はむくりと体を起こした。
隣に慕情がいないのは珍しくない。たいてい彼のほうが早起きだ。だが、耳をすませても、何の物音もせず、人の気配が感じられない。
風信はジーンズを履きながら、寝室から顔を出した。やはり、しんと静まり返っている。
まあ、買い物かなにかに出かけているのだろう。特に気に留めず、風信は冷蔵庫から出した牛乳を口に流し込んだ。
だが、昼を過ぎて、夕方になり、陽が沈んでも慕情は帰ってこなかった。
メッセージを送るが、既読の表示はつかない。
今日は何か予定があっただろうか。部屋にかけてあるカレンダーを見るが、二人ともあまり書き込まないし、冷蔵庫に貼ってあるホワイトボードには、買い足すもののメモが残っているだけだ。
4449日曜の朝、目を覚ました風信はむくりと体を起こした。
隣に慕情がいないのは珍しくない。たいてい彼のほうが早起きだ。だが、耳をすませても、何の物音もせず、人の気配が感じられない。
風信はジーンズを履きながら、寝室から顔を出した。やはり、しんと静まり返っている。
まあ、買い物かなにかに出かけているのだろう。特に気に留めず、風信は冷蔵庫から出した牛乳を口に流し込んだ。
だが、昼を過ぎて、夕方になり、陽が沈んでも慕情は帰ってこなかった。
メッセージを送るが、既読の表示はつかない。
今日は何か予定があっただろうか。部屋にかけてあるカレンダーを見るが、二人ともあまり書き込まないし、冷蔵庫に貼ってあるホワイトボードには、買い足すもののメモが残っているだけだ。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。貧血で倒れて風信さんにお姫様だっこされるなんぽんが書きたかっただけ。※諸々深く考えずにお読みください😂
夕暮れの空を飛ぶコックピットに、エンジンの規則的な唸りとは違う音が響く。
南風が、はっとして腕で腹を抱える。「……すみません」
風信は小さく笑い、横目で見た。「腹へってるのか?」
「はい。その、ちょっと節制しておこうかと」
ああ、と風信は察する。
もうすぐやってくる航空身体検査。それはパイロットの健康診断だが、結果いかんによっては飛べなくなることもありうる。もちろん永遠に飛べなくなるような重篤なことは滅多にないとはいえ、ひっかからないに越したことはない。
「前回、数値がちょっと悪くなってたので……今回は食事もしばらくサラダだけにしたりして頑張ってるんですけど……」
「ハードな仕事なんだから、しっかり食べないともたないぞ」と風信は眉をひそめるが、向こうも大人だ。食生活に口を出すこともあるまい、とそれ以上は何も言わなかった。
2137南風が、はっとして腕で腹を抱える。「……すみません」
風信は小さく笑い、横目で見た。「腹へってるのか?」
「はい。その、ちょっと節制しておこうかと」
ああ、と風信は察する。
もうすぐやってくる航空身体検査。それはパイロットの健康診断だが、結果いかんによっては飛べなくなることもありうる。もちろん永遠に飛べなくなるような重篤なことは滅多にないとはいえ、ひっかからないに越したことはない。
「前回、数値がちょっと悪くなってたので……今回は食事もしばらくサラダだけにしたりして頑張ってるんですけど……」
「ハードな仕事なんだから、しっかり食べないともたないぞ」と風信は眉をひそめるが、向こうも大人だ。食生活に口を出すこともあるまい、とそれ以上は何も言わなかった。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] ひっそり泣いてる南風に静かに寄り添う風信さんが書きたかっただけのらくがき さてどうしたものか。
風信は壁に背をもたせかけ、腕を組んで目の前の虚空を見つめる。足元からは、抑えきれないすすり泣きの声。
懐中電灯の電池が切れたので備品室に取りに来ただけだった。気配を感じて部屋の奥を覗き込んだ風信の目に入ったのは、床にうずくまった人影。小さく揺れる肩と、見慣れた髪。
備品室になんて滅多に来ないのに、来た時に限って何故、と思ったことは否めない。だから気配に気づいて頭を上げ、涙に濡れた顔で「なんで……」と呟く南風と目があったとき、風信のほうも同じ気持ちだった。
そのまま見なかったふりをして立ち去ればよかったのだろう。でも風信にはそれが出来なかった。ゆっくり近づいていっても南風は立ち上がることはなく、うずくまったまま、また腕に顔をうずめる。
1130風信は壁に背をもたせかけ、腕を組んで目の前の虚空を見つめる。足元からは、抑えきれないすすり泣きの声。
懐中電灯の電池が切れたので備品室に取りに来ただけだった。気配を感じて部屋の奥を覗き込んだ風信の目に入ったのは、床にうずくまった人影。小さく揺れる肩と、見慣れた髪。
備品室になんて滅多に来ないのに、来た時に限って何故、と思ったことは否めない。だから気配に気づいて頭を上げ、涙に濡れた顔で「なんで……」と呟く南風と目があったとき、風信のほうも同じ気持ちだった。
そのまま見なかったふりをして立ち去ればよかったのだろう。でも風信にはそれが出来なかった。ゆっくり近づいていっても南風は立ち上がることはなく、うずくまったまま、また腕に顔をうずめる。
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DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。長距離往復フライトの次の日、ふたり一緒にインフルにやられる二人。高熱の風信機長にビデオ通話する南風がいます。高熱でフラフラの風信さんがやたら色っぽいということを書きたかっただけです。
※全年齢です
熱のいたずら「南風、大丈夫か?」
十時間をこえる長距離往復フライトは、慣れていても堪える。だが、フライト後、一緒に乗務していた南風の顔に疲労以外のものを感じ、風信は尋ねた。南風は、気づかれたことに驚いたように顔をあげる。
「大丈夫です。でもちょっとだけ……頭がいたくて」
にこっと笑って見せる南風の額にすっと手を伸ばす。
「熱はなさそうだな。でも体調が悪くなるようだったら医者にいけよ」
「はい」南風は答える。「機長の手、冷たくて気持ちいい……」
そのトロリとした顔に若干心配になるが、南風のことだ、無理はしないだろうとそれほど気にとめず帰宅した。
次の日の朝、風信は嫌な予感とともに目を覚ました。
枕の上で動かした頭がずきりと鈍く痛む。恐る恐る額に手をもっていく。
2791十時間をこえる長距離往復フライトは、慣れていても堪える。だが、フライト後、一緒に乗務していた南風の顔に疲労以外のものを感じ、風信は尋ねた。南風は、気づかれたことに驚いたように顔をあげる。
「大丈夫です。でもちょっとだけ……頭がいたくて」
にこっと笑って見せる南風の額にすっと手を伸ばす。
「熱はなさそうだな。でも体調が悪くなるようだったら医者にいけよ」
「はい」南風は答える。「機長の手、冷たくて気持ちいい……」
そのトロリとした顔に若干心配になるが、南風のことだ、無理はしないだろうとそれほど気にとめず帰宅した。
次の日の朝、風信は嫌な予感とともに目を覚ました。
枕の上で動かした頭がずきりと鈍く痛む。恐る恐る額に手をもっていく。
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DONE新春SSおみくじ:第八番 [風信&慕情]現代の日本で年越しを迎えるふたり。謎設定。深く考えずにお読みください。
冬の冷たい空気に冷えた指先をこめかみに当て、この何百年繰り返し唱えた口令を唱える。
なんど年を超しても、同じことをやっている自分が可笑しい。
『なんだ、風信。私は下界で任務中なんだが』
そして、なんど年を越しても変わらない不機嫌な声が返ってくる。
「なんだかお前の声がききたくなった、と言ったら怒るか、慕情」
沈黙が返ってくるが、通霊は切れてはいない。
「最近信徒が増えてきた東の異国に来ているのだが、この国は年越しだというのに花火の一つもあがらない」
通霊の向こうで、はん、と鼻を鳴らす音がする。
『お前は本当に、花火だの爆竹だの賑やかしいのが好きだな』
「だって、年越しにはやはり目出度く賑やかにいきたいだろ? なのに、さっきから静まりかえっていて、なにやら陰気な鐘の音が何度も——」
1796なんど年を超しても、同じことをやっている自分が可笑しい。
『なんだ、風信。私は下界で任務中なんだが』
そして、なんど年を越しても変わらない不機嫌な声が返ってくる。
「なんだかお前の声がききたくなった、と言ったら怒るか、慕情」
沈黙が返ってくるが、通霊は切れてはいない。
「最近信徒が増えてきた東の異国に来ているのだが、この国は年越しだというのに花火の一つもあがらない」
通霊の向こうで、はん、と鼻を鳴らす音がする。
『お前は本当に、花火だの爆竹だの賑やかしいのが好きだな』
「だって、年越しにはやはり目出度く賑やかにいきたいだろ? なのに、さっきから静まりかえっていて、なにやら陰気な鐘の音が何度も——」
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DONE新春SSおみくじ:第七番 [殿下&南風&扶揺]原作軸の神官三人ですが、舞台は現代。謎時空。何も考えずにお読みください。
謝憐がATMで無茶をするお話。
「あ、君たちか」
菩薺観の扉を開けた謝憐は、険しい顔で佇む若い神官二人に微笑みかけた。
「呼んでおいて、君たちか、はないでしょう」
一人がぐるりと白眼をむく。
「扶揺、べつに呼んではいないんだが」
「通霊で『君たちの助けが必要で……あ、いやまあいい。一人でなんとかする』なんて言って切られたら、来ないわけにはいかないじゃないですか!」
もう一人が腕組みをして大きな声で言うと、謝憐は肩をすくめた。
「いやぁ、南風、言っている途中でなんとかなるかと思ったんだよ。でも、まあ来てくれた以上、手伝ってくれるかな?」と言うと、二人はふんとそっぽを向き、
「よろこんで!」と噛みつくように言った。
謝憐は苦笑いしながら二人を中に招き入れ、奥に置かれた功徳箱の前に立った。
1843菩薺観の扉を開けた謝憐は、険しい顔で佇む若い神官二人に微笑みかけた。
「呼んでおいて、君たちか、はないでしょう」
一人がぐるりと白眼をむく。
「扶揺、べつに呼んではいないんだが」
「通霊で『君たちの助けが必要で……あ、いやまあいい。一人でなんとかする』なんて言って切られたら、来ないわけにはいかないじゃないですか!」
もう一人が腕組みをして大きな声で言うと、謝憐は肩をすくめた。
「いやぁ、南風、言っている途中でなんとかなるかと思ったんだよ。でも、まあ来てくれた以上、手伝ってくれるかな?」と言うと、二人はふんとそっぽを向き、
「よろこんで!」と噛みつくように言った。
謝憐は苦笑いしながら二人を中に招き入れ、奥に置かれた功徳箱の前に立った。