tak1_tam1
DOODLELM 375指差し確認的な小話。
境界線 アストラルホテル東京。最上階のプレジデンタル・スイートルーム、3601号室。
このドアの前に初めて立った時には、平静であると思っていながら、その奥深い部分には苛立ちが横たわっていたことに、今更ながらに気づく。このドアの前で何度、ため息をついただろう。ありとあらゆる種類のため息だ。
それでも、日に何度もこのドアをくぐり、この部屋に滞在しているあの男と顔を付き合わせるうちに、このドアの前でため息をつくことも減ってきた。
減ってきたというだけで、いまだにため息はつく。
ただ、そのため息の種類が変わった。
(今つくため息は、安堵に似ているのかもしれない)
このドアの向こうのスイートルームに滞在している男は、ワシントンから送られてきた資料通りの、いやそれ以上のスペックを持った人物だった。
4501このドアの前に初めて立った時には、平静であると思っていながら、その奥深い部分には苛立ちが横たわっていたことに、今更ながらに気づく。このドアの前で何度、ため息をついただろう。ありとあらゆる種類のため息だ。
それでも、日に何度もこのドアをくぐり、この部屋に滞在しているあの男と顔を付き合わせるうちに、このドアの前でため息をつくことも減ってきた。
減ってきたというだけで、いまだにため息はつく。
ただ、そのため息の種類が変わった。
(今つくため息は、安堵に似ているのかもしれない)
このドアの向こうのスイートルームに滞在している男は、ワシントンから送られてきた資料通りの、いやそれ以上のスペックを持った人物だった。