ナンデ
DOODLE兄ド 出所後 田舎暮らしするふたりおにぎりの具は鮭、水筒には麦茶、スイカは玄関 真っ黒どころか白髪の混ざり始めた髪を撫でながら、大門が言う。
「もう染めねえの」
四十五を過ぎてようやっと社会復帰を果たした溝口恭平は、今や片田舎で農家の真似事をする毎日だ。
出所後三十年ぶりに帰った実家では妹が九州に嫁に行き、年老いた両親しか残っていなかったので、ざわつく近所も何のその持ち前の図々しさで持ってして、元来押しに弱い両親を丸め込んだ。つまり溝口恭平は罪も罰も忘れてのどかにのうのうと暮らしているというわけである。
「染めねえよぉ。こんな田舎で染めたら目立つじゃん」
「いいだろ。もう目立ってんだろ。三十年ぶりの出戻り不良息子で前科者で男の恋人連れてきたホモ野郎だなんて田舎じゃ役満だろうがよ」
2069「もう染めねえの」
四十五を過ぎてようやっと社会復帰を果たした溝口恭平は、今や片田舎で農家の真似事をする毎日だ。
出所後三十年ぶりに帰った実家では妹が九州に嫁に行き、年老いた両親しか残っていなかったので、ざわつく近所も何のその持ち前の図々しさで持ってして、元来押しに弱い両親を丸め込んだ。つまり溝口恭平は罪も罰も忘れてのどかにのうのうと暮らしているというわけである。
「染めねえよぉ。こんな田舎で染めたら目立つじゃん」
「いいだろ。もう目立ってんだろ。三十年ぶりの出戻り不良息子で前科者で男の恋人連れてきたホモ野郎だなんて田舎じゃ役満だろうがよ」