ナンデ
DOODLE堅幸堅 ふたりで朝食を食べる小話皿に炒り卵、声に出して愛を 夜勤帰りの兄と、日勤に向かうための弟と、家のリビングではたと会い朝食を取る。これはありふれた光景だったし、二人とも案外この瞬間が好きだった。
「トーストでいい?ジャムがあとちょっとだから、俺はバタートーストにするつもり」
「ん。ウインナーある?」
「あるけど、夜勤明けでそんなに食べてお腹壊さない?」
「腹減ってんだよ」
「そう。まあ、兄ちゃんがいいならいいか」
電気ケトルが二人分のお湯を沸かす間にとテレビをつけたら、朝の情報番組が映る。賑やかな笑い声の芸人やタレントやアーティストがフリップに今おすすめのインスタントコーヒーの銘柄をぞろぞろ書いてコメントを見せ合う。幸志朗が「これ、このコーヒー!うちのと同じだね」と嬉しそうにテレビを指差し、あごをさすりながら堅志朗が「まあ、安いからなあ。売れてんだろ」と興味無さげに返す。その内にケトルが電子音を鳴らし、今しがた番組の中で紹介されたコーヒーが二人分カップに入れられて、丁度よく焼けたバタートーストと、洗わずに食べられると大きくパッケージに書かれたサラダが菜箸で皿に盛られていく。
1885「トーストでいい?ジャムがあとちょっとだから、俺はバタートーストにするつもり」
「ん。ウインナーある?」
「あるけど、夜勤明けでそんなに食べてお腹壊さない?」
「腹減ってんだよ」
「そう。まあ、兄ちゃんがいいならいいか」
電気ケトルが二人分のお湯を沸かす間にとテレビをつけたら、朝の情報番組が映る。賑やかな笑い声の芸人やタレントやアーティストがフリップに今おすすめのインスタントコーヒーの銘柄をぞろぞろ書いてコメントを見せ合う。幸志朗が「これ、このコーヒー!うちのと同じだね」と嬉しそうにテレビを指差し、あごをさすりながら堅志朗が「まあ、安いからなあ。売れてんだろ」と興味無さげに返す。その内にケトルが電子音を鳴らし、今しがた番組の中で紹介されたコーヒーが二人分カップに入れられて、丁度よく焼けたバタートーストと、洗わずに食べられると大きくパッケージに書かれたサラダが菜箸で皿に盛られていく。