『イェラグ外でもエンシオディス・シルバーアッシュの研究は盛んになっています』
資料の発見も著しく…と、いかにも覚えたであろう説明をリーベリの博物館員女性が来場者に向け話している。
○は流ちょうに台詞を語る小柄な女性を囲む人たちの横を通り、近代化への歩みというパネルを抜けていく。慣れた足取りで武器展示スペースに入り、エンシオディスが使用していた剣を飾るブースにやって来た。
普段のイェラグでは見かけないような、薄着のいかにも観光客な連中がパネルの前にひしめき合っている。
新しく紙幣になる男を一目見てやるかという、お上りさんたちがエンシオディスの展示物前でめいめい話をしていた。
絵画で見るより良い男だの、聡明そうな見た目だの…どれもつまらない話ばかり。
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