此方も同じショーケースの中に並ぶ色とりどりのケーキを見つめて、ソウゲンはうーんと首を傾げた。鈴蘭に連れて来られた小洒落た店は花やリボンで飾られたとても可愛らしいお店で。ショーケースの中のケーキも自分の知っているものとは全然違うのだなぁと唖然とした。
「鈴蘭殿のおすすめはどれなのです?」
「うーん…どれも美味しいよ。…スフレもふわふわだし、ベイクドチーズケーキはちょっと前に流行ったもんね。ガトーショコラもいいしね。あ、オペラ美味しいんだよ!あ、でも、あんまり甘すぎるのは得意じゃないかな。ティラミスはどう?」
次々口から出るケーキの名前はまるで呪文のよう。指をさしながら教えてくれるその様子は、何百年も前に見た団子を嬉しそうに選ぶその姿そのものだった。
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