安眠 寝苦しい。というか、息苦しい。何かが身体にのしかかっているような、……そんな嫌な感覚で目を覚ました。
瞼は閉じたままに、ベッドに投げ出した片手を恐る恐る握る。寝起きで力が入らないものの、小指、薬指、中指、人差し指と、問題なく動かすことが出来た。
ほっと胸を撫で下ろす。……大丈夫。金縛りではないようだ。
だとしても、目を開けて事実を確認するのが怖い。
この図体で怖がりだなんてあまりに滑稽な自覚はあるのだが、子供の頃から駄目なのだ。ホラーとかオカルトとかそういう、理屈が説明できない事象は、どうしたって怖い。
寝てるうちに金縛りにあって、髪の長い女の霊が身体を這う。なんて、ホラーじゃよくある展開だし。
1620