蝉の声がした。
教室の外、春には淡いピンクの花を咲かせる大きな桜の木。窓を開けても風なんて入ってこない、蒸し暑い陽気の日。
今年最初の蝉の声だった。ヒグラシではない。「チー、チー」としたそれは、確かニイニイゼミとか言う可愛い名前だっただろうか。
今年は少し早いな、なんて思いながら、窓際の席の降谷が窓の外を見やっている時だった。
カクン、と視界の端で何かが揺れた。前に視線を戻せば、前の席の黒髪が、机に頬杖をついて船を漕ぎそうになっているところだった。
また、カクン、と。
特徴的な後ろ髪の部分が、ぴょこんと揺れる。長々と朗読されている英文を、まるで子守唄にでもしているかのように。
「ぷっ……」
それに思わず笑みを漏らしていると、ふと、教師の視線が彼に向けられたのに気づいた。まだ若い女性の教師だが、いくら成績優秀者とはいえ授業でこう堂々と寝られては困ることもあるだろう。
「工藤く、」
「先生」
降谷はさっと声を上げた。
「え、な、なに? 降谷君」
「蝉の鳴き声って、英語で何て言うんですか?」
「え、蝉?」
突然の降谷の質問に、教師は面食らう。降谷が超がつくほどの優等生で、しかもネイティブ並みに英語が出来ると知っているので、その質問には余計戸惑ったのだろう。
「え、えぇと、確か……」
「――蝉の鳴き声は、英語では表現しないですよね」
前の席の彼が言った。
「普通は『Cicadas are buzzing.』。蝉が鳴いていると表現するぐらいで、蝉の鳴き声を何種類も作って情緒を感じるのは日本人ぐらいなんですよね、先生」
スラスラと、寝起きとは思えないような声。
降谷からは顔は見えないけれど、あの、猫を被ったような笑みを浮かべているのだろう。
「あ、あぁ、確かにそうね。そうだったわ」
「そうなんですね、すみません。外から鳴き声が聴こえたから、つい気になって」
降谷もにこりと笑うと、教師はわずかに顔を赤らめて、「じゃあ、授業に戻ります」と前の方に戻っていった。
彼女が再び教科書を読み始めたところで、前の席の彼が教科書に隠れてそっとこちらを振り向く。
彼は小さく笑って、口をパクパク動かした。
――わ・る・い。た・す・かっ・た。
そんなところだろうか。どうせまた朝まで小説でも読んでいたのだろう。
降谷は少し迷って、こちらも口だけを動かす。
――あ・と・で・お・ご・れ。
それを正しく解読したらしい彼が、ふっと片眼を緩ませて笑った。
――ばー・ろぉ。
彼の口癖のそれは、口の形なんで見なくてもその表情で分かる。
それから再び彼は前を向いた。
また頬杖をついた彼は、さすがに寝ないようだが降谷と同じ蝉の声に気づいたのか、窓の外に視線をやる。
チー、チー、とも、ニーとも取れるような声。鳴き声なんて、世界各国でその表現が異なるように、聴く人間によって聴こえ方は変わる。
数百種類はいると言われる蝉の鳴き声を使い分けるなんてのは日本人くらいで、英語で「蝉が鳴く」は、彼が言ったように「buzzing」や良くて「singing」、「making noise」なんて騒音そのものとして表現されることもあるくらいだ。
だけど降谷は、蝉の鳴き声を聴くと確かに夏を感じる。
教室に立ち込めるむわっとした空気。うっすらと肌の上を滑る汗。制服の真っ白いシャツ。そろそろ教室のエアコンをつけて欲しいと思うが、まだ規定温度には達していないらしい。
ふわっと、風が吹いた。わずかながらの涼しさを運んできたそれに、真っ黒な髪が揺れて、白いシャツの襟元も揺れる。
「……涼しー」
緑緑とした桜の木を見つめながら小さく口元を緩めた彼の頬は、暑さにかほんのりと上気し、細いうなじに一筋の汗が伝っていて。
「――ッ」
何故か、いけないものを見てしまった気がして、降谷は遮るようにそこから視線を外した。
――最近、自分はおかしいのだ。
何で、前の席の彼に、こんな気持ちになるのだろう。
何で、自分と同じその平らな体に、触れたいと思うのだ。
いつからだ? 衣替えをして、夏服になってから?
いや多分、それよりずっと前から――。
ミー、ミー、と耳に響く音。
先ほどまで囀るようだった蝉の鳴き声が、急にうるさく感じた。
♢ ♢ ♢
――降谷の前の席の彼は、工藤新一と言う。
二年で初めて同じクラスになったが、入学当初から有名人なのでその存在は知っていた。
目立つ容姿に、著名な両親とそれに負けないずば抜けた頭脳。帰宅部ながらにサッカー部の助っ人で試合に出場し、弱小と呼ばれるサッカー部に久しぶりの金星をもたらしたとか。
同じクラスになるまでほとんど接点はなかったけれど、この学校で新一のことを知らない人間などいないだろう。
それを言ったら、新一に「それはオレの台詞だっての」と言われたけれど。
「入学式で首席で挨拶してたし。オメーの方が、断然目立つだろ」
そう言って笑っていたのは、初めて二人が会話を交わした時だったか。
チャイムの音が退屈な授業の終わりを告げると、ガヤガヤと一斉に教室内は騒がしくなった。
新一はどうするのだろうと片付けをしながら前の席をチラリと見やると、購買組の彼も他の生徒と同じように慌ただしく教室を出ていく。
珍しいな、とは思った。いつも、残っているパンでもいいや、ぐらいなのに。
降谷は弁当組だが、教室に残っていると色々と面倒も起きるので、外に出るか、と立ち上がったところで声が掛かる。
「おーい、ゼロ」
幼馴染である諸伏が、廊下からひらひらと手を振っていた。
「一人ならオレらと食べようよ」
見ると、諸伏の後ろにはいつもの面々がいる。諸伏は小学校からの幼馴染だが、他は去年同じクラスになって知り合ったメンバーだ。
「あれ、萩原は?」
メンツが一人少ないことを尋ねると、松田が肩を竦めた。
「あいつは今日は女子と食べるってよ。毎日ご苦労なこった」
「オレらのクラス、萩原とご飯食べる当番表みたいなのが出来てるんだよね」
「あれで誰からも文句が上がらないのがあいつの凄いとこだよなぁ」
同じクラスの諸伏と伊達が関心したように言うのに、降谷も同感だなと思う。
「どこで食べるんだ?」
「屋上」
「……屋上って、この暑いのに」
「だからだろ。人来なくていいじゃねぇか」
それはそうだが、と思っているところに、隣の諸伏から声が掛かる。
「そういえば、今日は工藤は良かったのか?」
ニコニコと他意はないだろうそれに、何故か居心地が悪かった。
「……別に、約束してるわけじゃ」
ここ最近は新一と昼を食べることが多かったから、彼らと食べるのは久しぶりだ。
だが、新一とだって特段約束をしているわけではない。だから新一がさっさと出て行ったことに、降谷が腹を立てる筋合いなんてのも勿論ないわけで。
「工藤? あぁ、仲良くなれてよかったじゃねぇか。お前入学当初から気になってたもんな〜」
「そういうわけじゃ……」
「いつ突っかかってくんだって思ってたけど」
それは、降谷がずっと新一を睨め付けるように見ていたからか。
大柄な伊達が朗らかな声を掛けた。
「俺は、お前ら二人の方が危なっかしかったけどな。入学式早々ケンカしてただろうが」
「「あれはこいつが悪い」」
ハモった。
不本意ながらのそれに、降谷は松田とお互いを睨みつけるように顔を見合わせて、それから、同じタイミングで口元を吊り上げた。
「言っとくが、ゼロに折られた前歯の件、まだ忘れてねーし」
「どうせ差し歯だろ」
遠慮なく笑ってやる。
確かに降谷だって、諸伏は別として彼らとここまで仲良くなるとは思わなかった。どうも自分は頑固で生真面目な性格故か、気を許せる友人は少ないのだ。
それを良く知っている諸伏は、だからか新しいクラスで新一と仲良くなったことに、安堵しているらしい。
「ゼロのあれは、突っかかっていきたいんじゃなくて、どんな人か気になってる時だよな」
「だからそんなんじゃないって言ってるだろ、ヒロ」
知りすぎている幼馴染に否定しようとしたところで、伊達が「あれ」と声を上げた。
「噂をすればの工藤じゃないか?」
視線を向けると、前からパンを抱えた新一が歩いてくるところだった。向こうもこちらの姿を見つけて、その眉が寄る。
「あ、いたじゃねーか、降谷」
むすっとしたように新一に言われて、降谷は面食らった。
「教室にいないから探すところだったし」
「僕を?」
「他に誰がいるんだよ」
呆れたように言われても、降谷には覚えがない。大体、何も言わずに教室を出ていったのはそっちじゃないか。
言葉を発せないままの降谷に代わってか、諸伏が穏やかな声を発する。
「オレら屋上行くんだけど、工藤も行く?」
新一と彼らとは、降谷が同じクラスになってから付き合いが出来た。何度か一緒に弁当を食べたこともあるから、諸伏の誘いもおかしいものではない。
「屋上? うーん……」
暑いから断るだろうな……、と予測していた降谷の耳に入ってきたのは、同じ断りでも意外な言葉で。
「今日は降谷と二人がいいから、やめとく」
「え……」
「悪ぃ、つーことで、降谷借りるな」
「返してもらう必要ねぇけどな」
松田の軽口に、はは、と笑った新一が「行こうぜ」と言うので、降谷は付いていくしかない。視界の隅にやたら優しく微笑んでいる幼馴染の顔が映って。
何で、わざわざ二人でとか言うんだよ……。
意識をしてしまうではないか。新一にそんな気は絶対ないのに。
購買に行くのに急いだせいか、それとも降谷を探していたせいか、新一の背中の布地にうっすらと汗が染みていた。暑いの嫌いなくせに。
「……どこ行くんだ?」
「あー、あそこにしようぜ」
新一が指差した先は、図書室横の準備室だ。古びた本があるだけの狭い部屋は、鍵が壊れて掛かっていないのを自分たちは知っている。
中に入ると、薄暗い書架に囲まれて机とパイプ椅子が一脚だけあった。
「つか、あっちー。ここ、人来なくていいんだけど、風通しも悪いんだよなぁ……」
新一が唯一ある小さな腰窓を開ける。気休めというより、外の熱気が入ってきて余計に暑くなりそうだけど、降谷は何も言わない。
籠るより、マシだよな……。
何が、かは分からないけど、何かが、だ。
椅子は一脚しかないので、二人で窓の下の床に座った。女子と違って行儀や汚れを気にする必要もない。
そういえば、新一と二人で初めて会話を交わしたのも、ここだった。
三月の年度末間近、降谷が、卒業する先輩に呼び出されてここで告白されてた時だ。
「ねぇ、私卒業しちゃうし、最後の思い出に、駄目かな?」
「だから、僕は……」
そんな制服の胸元をはだけられて体を押し付けられても、何も感じないどころか嫌悪しかない。美人だと人気の三年生だったが、この人は、男子高校生など猿だとでも思っているのだろうか。
そのあまりのしつこさに降谷が辟易していた時に、ガラッと、新一がここの扉を開けたのだ。
「――あ、すみません」
彼は驚いたような顔をしたけれど、一瞬だけ降谷と女生徒に視線をやると、何故か扉を閉めなかった。そうして呆けた二人に向かって。
「……オレ、ここにある本探してくるよう、先生に言われて。入っても、いいです?」
にこりと笑ったその強引ぶりに、降谷に迫っていた彼女は真っ赤になった。
「えっ、あ、なっ……!」
それから、バタバタと服を押さえながら彼女は出て行く。
その足音が聞こえなくなってから、彼は扉を閉めた。
「……あー、悪ぃ。余計なお世話だったか?」
そうして頬を指で掻きながら、確信犯的に笑ったのだ。
それで、降谷は新一が偶然なんかではなく、意図を持ってこの扉を開けたということを悟って。
降谷は脱力して壁にもたれ掛かり、ずるずるとしゃがみ込んだ。
「いや、助かった。……B組の工藤、だよな」
見上げると、新一が少し首を傾げた。
「そう。オレのこと知ってんのか?」
「知ってるよ、有名人だから」
本当はそれだけじゃないけれど、目立つ彼は、とても人目を惹きつけるのだ。
新一は青い眼を見開くようにして、それから、面白そうに笑った。
「それはオレの台詞だっての」
降谷の頭上で開け放たれていた窓から、さぁっと風が吹く。
それはしゃがみ込んでいる自分の頭上を抜けて、新一に届いて。
「――降谷零、だろ?」
風で靡いた黒髪と、自分の名を紡いだ唇が、やけに印象に残った。
――その半月後のクラス替えで、降谷は、新一と同じクラスになったのだ。その後に行われた席替えでは、後ろの席にもなり。
「ヨロシクな」
まだ教室の窓からは桜が咲いていた時期、新一が悪戯っぽく笑ってそう言って、二人は今に至る。
「あー、蘭に扇風機借りて来ればよかったな」
新一がカチッとボトル型になった缶コーヒーの蓋を開けた。校内の自販機に一つだけあるブラックコーヒーは、ほとんど新一の消費で賄われていると降谷は思う。
「最近の女子はみんな持ってるよな、あれ」
「……確かに」
新一に幼馴染がいることは有名だ。クラスは違うが、綺麗な黒髪の、可愛い子。降谷とは正反対の。
正反対も何も、性別すら違うんだよな……。
「降谷?」
新一がこちらを覗き込んだ。
「弁当食わねぇのかよ?」
「……食べるに決まってるだろ」
あの時、この部屋で上目遣いに女生徒に見られても何とも思わなかったのに、どうして今はこんなにも淫靡な空気を感じてしまうのだろう。
全部、夏のせいか。
この蒸し暑さのせい。
この狭い部屋のせい。
「これだと、屋上の方が涼しかったかな」
確かに、この湿気だと狭い部屋よりは屋上の日陰ででも食べる方がまだ涼しかったかもしれない。
新一がシャツの襟元でパタパタと仰いだので、ちらりと鎖骨が覗いた。
「……工藤が、二人がいいとか言ったからだろ」
これじゃあ咎めているような声音なのに、新一は意にも介さない。
「だってよ」
ぺりぺりと、彼は購買で買ってきたパンの袋を開けた。
「……珍しい。それ、買えたのか?」
「おぅ。ラスイチでギリギリだったけどな」
新一の手には、唐揚げパンが握られていた。薄いトルティーヤみたいな生地に千切りキャベツとマヨネーズ、そして大きな唐揚げが挟んであるそれは、男子高校生には人気の購買パンだが、今日はその争奪戦争に勝ったらしい。
だけど彼は口に運ぶのではなく、それを降谷に差し出した。
「ん」
「……何」
「一口。さっき、奢れって言っただろ」
――あぁ、もう。
いつかのように悪戯っぽく笑った新一に、降谷が密かに胸を高鳴らせたなんて、彼はきっと微塵も気づいていない。
「……一口って、ケチだな」
「あんなぐらいで奢らせようって方がケチだろ」
降谷の前に差し出されたそれを、逡巡の末、齧った。大口を開けて。
「うわっ、三分の一くらいいったじゃねぇか! オレの昼飯!」
「……一口なんだろ」
もぐもぐと咀嚼した。
小さく食べた方が、後でもう一口と言えただろうかと気づいたが、そもそもそんな勇気は出そうにないからこれぐらい、いいだろう。
「……それなら、買いに行く前にそう言えよ。そうしたら僕も教室で待ってたのに」
「言ってる間に売り切れるじゃねぇか」
新一が口を開けて、齧り付いた。降谷の齧ったそこを。
――二人きりで、良かった。
こんな顔、誰にも見られたくない。
外では、ミー、ミーと蝉の声がした。教室で聴こえたのと、同じ音。
「もう、夏だよなぁ。授業中、お前のあれで蝉に気づいた」
「……あぁ」
「蝉の声って不思議だよな。聴くとまた暑い夏が来たって思うのに、何か嫌じゃない」
「……僕らが日本人だからだろ」
「確かにな」
蝉の声をBGMに、弁当を食べた。さして会話が弾まないのは、新一もこの暑さにやられているからだろうか。
僕ら、いつもどんな会話してたんだっけ……。
ごくんとコーヒーを飲み込む彼の喉音がやたら耳に響いて。
「あ、降谷」
「……何だよ」
「口、弁当ついてる」
「え?」
どこ、と問う前に手を伸ばされた。新一の指先が、まるでスローモーションのように降谷の口元に触れる直前で、反射的に降谷はその手を掴んだ。
「あ」
新一がしまったという顔をする。降谷の方こそなのに。
「……いや、悪い。でも、口で言ってくれれば」
「あ、あぁ、そうだよな、つい」
ついって何だ。いつも、あの幼馴染にはそうやって取ってあげているのだろうか。
新一の手は、汗でか少ししっとりとしていた。初めて触れたそれは、きっと自分も同じだろうに、何故か熱かった。
「……降谷? 何か顔赤いけど、大丈夫か?」
手を握られたままでもそんなことを言ってくる新一に、無性に悔しさが込み上げる。
この気持ちは暑いから? 夏だから?
違う。
僕は。――僕は。
「……工藤」
喉の奥から声を絞り出す。
目線が合わせられない。
頬が発熱したように火照る。
「……ふるや?」
戸惑ったように、あの唇が、自分の名を紡いだ。
いつかのように。
「ッ――!」
降谷は我に返って、新一の手を離した。
自分は、何を言おうとしてたんだ。いや、何をしようと――。
「……悪い。ここ暑いから、僕先に戻るな。日直だし」
バタバタと弁当箱を片付ける。床から立ち上がり、「あ、おい!」と新一が声を掛けるのにも構わず、準備室を出た。
足早に廊下を歩き、ひと気のない階段に来て、ようやく立ち止まる。
「はぁ……」
頭をつけたコンクリートの壁がひんやりとしていて、それが余計に己の体温を知らしめる。
きっと今、自分はあの時の女子と同じ顔をしているだろう。情けなくて、はしたなくて、どうしようもなく、熱に浮かされたような。
「僕は……」
額をコンクリートに押し付けた。
聴こえる筈のない蝉の声が、頭の中で反響していた。
♢ ♢ ♢
湿気と古臭い書架の匂いが立ち込めた、準備室。
さっさと出て行ったくせに、きちんと扉を閉めて行くあたりが降谷らしい。それとも自分への配慮だろうか。
――この、きっと目も当てられないほど火照った顔に対しての。
「はぁ……」
一人残された床の上で、新一は溜めていた息を吐き出す。
「……言えよ、バーロォ……」
膝を抱える。掴まれた手が、まだ熱い。その手にもっと熱い額を押し付ける。
ミーミーと、蝉の声が聴こえた。
今年の夏はきっと熱いだろうと、教えてくれるようだった。