甘やかせる権利「大切な話があるんだ」
その言葉に終わりの意味が込められている気がして、その場から逃げ出してしまった。
熱を持って見てくるアイメリクの視線に気付かないふりをしていた。
嫌だ、折角仲良くできたのに。
もう少しでこの気持ちに整理がつくところだったのに。
親しくなっても一瞬の出来事でその関係は崩れてゆく。
それを知っていたから、アイメリクから何も聞きたくなかった。
「はぁ、はぁ、」
どんなに走ってもアイメリクは追いかけてくる。
さすが、神殿騎士団の総長なだけはある。
その間も、君に害があることではない、怖がらないでくれと叫んでいたのは聞いていた。
走り疲れて観念したかのように両手を上げるとアイメリクは微笑んた。
「君とゆっくり話がしたかったんだ」
1972