未熟で愚かで馬鹿な男 自分の感情をコントロールできないのは愚か者。人の都合を考えられない奴は未熟者。身勝手に嫉妬するのは、とくに馬鹿者。
なら自分は愚かで未熟で馬鹿だ。恋人のいる血を分けた双子の兄に欲情して、手首が白くなるくらい強く掴んで押し倒すのも。
「嫌なら、嫌って言えよ」
「やめる気あるなら」
「ないよ」
そう言うと、猗窩座は諦めたように目を逸らした。それでも弟の暴走を許す気らしい。抵抗はしなかった。
気に入らない。気を使われたいわけじゃない。じゃあ何をして欲しいのか聞かれると答えに詰まる。
杏寿郎が猗窩座の首筋につけた痕を指でなぞる。猗窩座がぴくりとうめいた。人のモノに手を出してるのはあちらか、こちらか。
ただ未熟で愚かな馬鹿な弟の俺は、欲望にだけは忠実。猗窩座の白い肌に噛みついて、自分にそっくりな顔に白い液体をぶちまけたい欲望にかられて毎夜、悶えて夢に見る。
狂っているのは百も承知。許す猗窩座が悪い。その首に吸いついて、猗窩座の恋人がつけた赤い痕に重ねて新しいモノにする。そうしたら、兄がうめいた声で自身が硬くなった。
やっぱりイカれてる。兄弟揃ってイカれてる。
そしてそれを許す猗窩座もどうかしてる。思わず優しくキスしたら、ちゃんと答えるのもいけない。舌を自分から絡めてくるのも何もかも。杏寿郎がいるくせに、狛治がこうして手を出すと猗窩座は黙って受け入れる。
悪いのは、兄だ。
穴を服の上から触っても、猗窩座は抵抗はしない。身をよじって歯を食いしばるだけだ。穴をヒクつかせて、弟を受け入れる兄の顔は確かに感じていた。
自分とのセックスは兄にとって、特別なようで特別でないのか。それはそれで腹立たしいのに、行為はやめられない。
これは愛じゃない。じゃあなんだ?もちろん恋でもない。親愛か?同情か?執着か?
誰か教えてくれ。愚かで未熟で馬鹿な俺に。