均一で隙のないナパージュ デカい口でこれまたデカいハンバーガーにかぶりつこうとしたエペルの目線が、ふとオレの手元で止まった。
「エースクン、それ……お店でやってもらったの?」
「んぁ? いーや、自分で塗ったけど」
「自分で? へぇ、すごく上手だね。ヴィルサンが麓の街に評判のネイルサロン? があるって前に話してたから、てっきりそこに行ったのかと思ったよ」
昼時の食堂は今日も相変わらず盛況だ。一年の頃はまとまった空席を探すのが毎度大変だったけれど、二年に上がると、何も言わなくても新一年生がほんのり顔を赤くしながら無理やり席を詰めたりテーブルを空けてくれるようになった。斜め向かいで豪快にハンバーガーを頬張るエペルは、遠くからうっすら聞こえてきたシャッター音にも気づいていない。
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