埋まらぬその差を愛おしいと思う「そういえば輝石の国では18歳以上が飲酒可能だったね」
キミはもう飲んだのかい
店内でワインを楽しむ夫婦に目を奪われてそう口にすると、目の前のトレイは「まさか」と笑った。困ったように片眉を上げる、見慣れた彼の笑顔。その頬にクラブのスートがないことだけが、どうにも見慣れなかった。
まんなかバースデーという考え方は進級直前にケイトから教わったものだった。マジカメで流行っているからと彼に言われるまま算出した恋人のトレイとのまんなかバースデー当日は日曜日。そうと分かればなにかしら恋人らしいイベントをしたいと考えるのは当然と言えた。
そんな訳で、新学期が始まりエースの誕生日も終えたなんでもない日。リドルは闇の鏡を抜けてインターン参加中のトレイに会いに、輝石の国へ向かったのだった。
1899