夜中のダイニングテーブルで静かにラップトップを叩く男が口先に咥えた煙草が葉を煙に替えながらじわじわと灰を作っていく。
はらりはらりと音もなく灰の欠片が落ちても、画面を凝視する目は構うことはなさそうだった。
煙草がもうフィルタまで燃え尽きそうなところで、少し半開きの口へ目を移したところで、主人は男の口から燃え尽きそうな煙草を摘み取って咥え、その煙を肺へ送り込む。
鈍重く低品質な、やたらザラついた味が喉を焼き、思わず噎せそうになるのをゆっくりゆっくりと吐き出して揃えの肺にして満足気な主人に、ため息混じりに
「誰のせいでこんな事になってると思ってる」
カタカタとキーを叩きながら零す男の頬に主人がキスを落とすと、男が噛み付くように返して唇へ舌を差し込んだ。
さっきの煙の味が濃厚に塗り込められてあっという間に口内を蹂躙して、主人は容易く焚き付けられた。
「終わったら、なんでもしていいからさ」
濡れきった声で形ばかりの謝罪を述べる主人に、
「先にシャワーを浴びておけ すぐに行く」
最後まで視線を寄越さない男のひと言に5分後を予感して、主人は浴室への脚を急がせた。