#鍾離_HP低下ボイス企画(フルは出来次第pixivに乗せます)跋扈する無数の魔物。
傷だらけで倒れる旅人。
俺を呼びに来たパイモンは彼に駆け寄り起こそうと必死に呼び掛けている。
限界なのかボロボロの体で息を切らし鈍いながらも襲い来る魔物を相手取る公子殿。
だが倒す内からまた湧き出る。
その様はまるで地獄絵図。
「なんだ、これは。」
パイモンが泣きながら俺を呼ぶものだから来てみればその阿鼻叫喚具合に、地面に足が縫い付けられ暫く動けなかった。
公子殿、と溢れ落ちた言葉は宙を舞ったそれを見てかき消された。
着地点であろう場所に滑り込み、受け止めシールドを張り敵の猛攻の一切を防ぐ。
「公子殿、何があった!」
「せんせ、おっそいよ。話は後。ちびちゃんと相棒を、連れて逃げろ。」
「何を言ってるんだ、公子殿。お前も一緒に」
「この敵、おれを狙って攻撃してきてるんだ。相棒は巻き込まれた、だけだから大丈夫。それに俺、強いからそう簡単に死なないよ。」
その言葉が強がりなのは一目瞭然だ。
だが・・・と折れないに公子殿は握り込み掌外沿で胸を叩き、言葉を静止させた。
その手は微かに震え、力を入れるのもままならないのだろう。
「相棒達の事は頼んだ。(民達の事は頼みましたよ)」
はっと息を飲む。
その面影がかの故人と重なった。
お前も、お前も俺に何か託すのか。
魔神戦争中、俺を庇い死したあの旧友のように。
あの時は力及ばず取り零した命だが今は違う。
全盛期とは程遠いがこの魔物達を消滅させ主犯である術者を屠る事等容易い。
体内の元素がその思いに同調するかのようにうねり、暴れ、高ぶらせた。
この感覚は魔神戦争以来かもな。
「せんせ、あんた何を」
「すまないな、公子殿。少し眠っててくれ」
軽い睡眠作用のある術をかけると、悪態を吐き捨て地に臥せた。
シールドが割れたのを好機だと思ったのか、守衛から無数の手が振ってくる。
ただ、舞い散った破片が槍に変換され、敵のコアを貫き、周りの敵は競り上がる岩石に潰され串刺しにされた。
敵が復活するにも時間がかかる。
パイモンに公子殿と旅人を任せて、周囲にシールドを張り、向き直った。
先程の惨劇など無かったかのように綺麗に魔物が復元されている。
殲滅対象を、公子殿から俺に変えたらしく敵の視線を一心に受けていた。
「ははっ、面白い」
滑稽だった。
俺の友をあれだけ食い潰しておいて、まだ足りないと騒ぐ魔物があまりにもおかしく、あまりにも目障りだった。
「俺の友に手を出したのだ、生きて帰れると思うなよ。」
俺は言ったぞ。