ラッピングにはリボンを添えて「……ああ、キングスカラーか。相変わらず器用なことだ」
夜半過ぎのオンボロ寮。
いつものように夜の散歩ついでに顔を出したツノ太郎が、突然そんなことを言ったので、一瞬意味が分からなかった。
「え? ……あ、あれのこと?」
思わずベッドサイドのチェストを見やる。
その上には、数日前にレオナ先輩から渡された、ブレスレットがのっているのだ。
◆◆◆
放課後の植物園で。
お昼寝中のレオナ先輩を見付けたので、なんとなく近付いて、ついつい綺麗なお顔とキュートなお耳を眺めていた時だった。
パチッと目を覚ました先輩は、私を目にすると腹筋だけでのそっと起き上がって、ポイッと何かを放って寄越した。
慌ててキャッチしてみれば、
「やる」
と一言だけ言って、またゴロンと寝てしまった。
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