「ねぇ炭治郎」
「なんだ」
「キスマークつけてくんない?」
「ブフォッ!!」
口に含んでいた麦茶は見事に全部吹き出してしまった。
早々と夏休みの宿題を放り投げて俺のベッドに寝転がりスマホゲームをしながら突然発せられた親友の言葉に、俺の思考は一瞬にして止まる。
「な、はっ?!」
口元を肩で拭いながら声の方を見れば、善逸は俺の慌てる様子をイヒヒと可笑しそうに見ている。すれば両脚を上げて振り下ろし、その反動で勢いよく起き上がって「こっち」と隣をぽんぽん、と叩いた。
「い、いや待て……善逸、…え、…え……」
聞き間違いでなければ、今善逸はとんでもないことを俺に願い出た。
一生懸命頭の中を整理している俺に対し「聞こえなかったんならもっかい言うから早くこっち来て」とまたぽんぽんしている。
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