前言撤回はしない 「あれ、また誰も来てないみたいですね。いつもなら月森くんとか早くに来てるのに」
「そうだね…」
火原が教鞭をとっているという学校、至誠館高校の吹奏楽部が【全国学生音楽コンクール】に参加するということから火原の誘いにより俺たち、かつてのアンサンブルメンバーは共に見に行くことになったのだが――。
(思えば…こいつとも、長い付き合いになったものだな)
高校の時からの付き合い。あれから、付き合い始め、特別な関係は続いている
「……ふ、」
「梓馬さん?」
突然笑った俺を不思議に思ったのか香穂子は俺に近づき、見上げてくる。
「…なんだよ」
「…嬉しそうだなって、火原先輩と久しぶりに会えるのが嬉しいんですか?」
的外れなことを口にする香穂子にはあ、と息を吐くとそのまま頬を摘まむ。
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