ひどくあまくてずるい/ぶぜさにーーまつ毛が長いなあ。
本丸の部屋の中、柱によりかかって昼寝をする豊前の寝顔を、じっと見つめて思う。いつ見ても飽きないくらい、綺麗なお顔をしている。
羨ましいなあ、ずるいなあ、と思うと、無意識に頬に目がいく。
ーーやわらかそう。
むくむくと悪戯心がわく。一応、恋仲、と呼べる関係ではあるのだし、少しくらいいいよね、という好奇心が、この時は勝った。
ほんの軽く、頬に口付ける。薄い肌の感触が、心地よくて、覚えてちょっとにやにやするくらい、許して欲しいなとか、少し変態なことを思いながら、離れた。
離れ、ようとした。
おかしい、腰がそれ以上さがらない。
「……ん、ぅ」
何とか話すと、押された力で今度は直接唇が薄い唇にくっつけられる。
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