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    真央りんか

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    真央りんか

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    神+ミキ。内容は便モ三寄り

     神在月はこの数ヶ月の友人に変化を感じていた。
     アシスタントに入ってくれた友人・三木と机を並べて作業しながら、ふと思い浮かんだ話を振る。
    「ミッキーさ、最近大きくなったよね」
     目の端で動いていたベタ塗の筆が一瞬止まった。
    「太ってはないぞ」
    「うん、それはわかる」
    「…ポーズモデル使いにくいか」
    「え? いや、元々ムツとは体格違ってるし、今も別に問題ないよ」
     そこでようやく安心したらしく、三木は話し始めた。
    「ちょっと太りかけてたんだよ。最近メシ食う量が増えてて」
    「ああ、よくお隣さんと一緒に食べるようになったんだよね?」
    「そう、おかげですごくまともな夕飯食べるようになって、バランスはいいんだろうけど、とにかくうまくて止まらず増えた」
    「いいことじゃん」
    「ん…あと、減らす気はなかったけど、煙草も減ってて」
    「そうなんだ」
     神在月は気付いてなかったふりで相槌を打った。
     三木はここでは吸わないし、来る前にも気をつけているようだ。それでも喫煙者だと感じる瞬間がある。それが最近は減っていた。煙草自体が減っていたということだったのか。
    「なんでもないときに吸うのが減ってて…そしたらまたメシがうまくてもっと食べるし」
    「ふふ、いいことじゃん」
     三木がベタ塗りの終わったページを避難場所によけたので、指示を書き込んだ次のページを渡す。なんとか待たさず追いついている。
    「仕事先の制服で腹周りきてるかなって思ったあたりで、服より暗…小物の出し入れが違和感出たんで、まずいと思って筋トレ始めた…」
    「偉い…」
    「…ら、腹は締まったけど、肩とか背中から脇にかけてピッチピチになって、結局制服は調整になった」
    「ぶっ…ふは、結果が出ていいこととは思うけど大変だったね」
    「全くだ、体の調子はいいからいいんだけど、自分の服もサイズ微妙なの出てきて……筋トレじゃなくて走り込みにするか」
    「神在月シンジは三木カナエを応援します」
    「なんのスポンサーだよ」
     つっこまれて神在月は、へへと笑った。
     神在月とタイプは違うが、自分の食に関心が薄かった友の変化をうれしく思う。愚痴りのような言い方だったが、こんなに話してくれたのはおそらく三木もいい変化だと感じているのだろう。
     ほら次、と作業を催促され、慌ててトーンの指示をメモする。雑談は一時お預けとなった。

     ある日、神在月が気分転換と称して外に出ると、いつもより人通りが多かった。仕事帰りの時間帯らしい。まだそんな時間かとやっと気付く。あまりうろつかず、コンビニに寄って早々に帰ろうとしたところで、通りの少し先に見慣れた背の高い影を見つける。
     三木だ。そして連れらしい癖毛の西洋人とどこにでもいそうな中年のサラリーマン。それぞれエコバッグをさげている。どの袋もパンパンだ。
     三木が神在月に気付いた。
     友人を見つけた嬉しげな顔、原稿からの逃亡を気に掛ける難しい顔、そして連れがいることを思い出してどこか気恥ずかし気な顔になり、左右をちらっと見た。
     めまぐるしい表情の変化に、連れの二人も神在月に気付いた。
     離れた距離でなんとなくお互いに会釈だけする。そして三木に向けては軽く手をあげて、三木も応じたのを見て神在月は帰路についた。
     神在月の前とは違う、しかし明らかに砕けた雰囲気の三木の様子を思い出して、自然と笑みが浮かぶ。
     家に着くころ、三木からメッセージが入った。いくつかやりとりを終えて、食事の時間にする。いつもと変わらぬヨーグルトだが、なぜかいつもよりおいしい気がした。
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