電車にっぴき出先からの直帰。普段は使わない路線。夜も深まり人は疎ら。
(うわ、目立つ二人組)
失礼を承知で、しかし興味を引かれるままそっと視線をやってしまう。盗み見た先は高身長男性の二人組なのだが、格好がすごい。
一人は真っ赤なジャケットにこれまた真っ赤なつば広の帽子(今は車中だからか手元にある)、もう一人は全体的に黒っぽく、時代がかって貴族じみたスーツにマント、首にひらひらまでつける徹底振り。二人とも海外の血を思わせる容貌で、赤い方は銀髪のイケメン、黒い方はかなり癖のある黒髪に高い鼻、顔色の悪い……どこからどう見ても吸血鬼にしか見えない男だ。
舞台役者のような出で立ちの彼らが見慣れた電車内を背景にする様に脳がちょっと混乱した。何者なのだろう。俳優だろうと舞台を降りれば私服だろうし……、大道芸人?
3060