六月の祝福 南仏の六月は、日本と違ってからりとして過ごしやすい。気温は二十度台前半くらいで、暑くもなく寒くもない。少し日差しがきついので、外では帽子やサングラスが必須だ。
宇髄は、石造の素朴な教会の中を、時間をかけて回っていた。細かい建築様式やら装飾やらを見て周り、先ほども来た回廊に戻ると、煉獄がそこにいた。
ここは四角形の中庭を取り囲んで四角く廊下が通っており、その回廊を歩くことで修道士たちが瞑想をする場だ。中庭側には壁はなく、柱が立っているだけだ。
柱と柱の間に腰掛けて、煉獄は本を読んでいた。南仏の眩しい日差しを浴びてその金髪は光り輝き、物思わしげな顔は宗教画の聖人のようだ。
「ずいぶんとさまになってんな」
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