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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    長編曦澄16
    🦍兄上vs🐒

    #曦澄

     猾猿はその夜に狩ることになった。
     まずは山の四方より禁錮陣の内側に入り、一回り小さい陣を張る準備をする。封異陣といって、妖異を封じ込め弱体化をはかる。その後、五年ほど待ち、十分に弱ったところで妖異を滅する。
     気の長い話である。
     問題は封異陣を引く間、猾猿を引きつけておかねばならず、さらには陣の中央におびきださねばならない、という二点である。
     各世家の仙師は陣術の得意な者と、剣の得意な者とで分かれた。さらに腕の立つ者が最前線で猾猿を引きつけることも決まった。
     なお、封異陣を引くのは魏無羨である。
    「私は魏嬰を守る」
     藍忘機の役割は問答無用で決まった。陣が完成したら魏無羨は戦線を離脱する。陣の起動は各世家の仙師たちが行う。
     残った問題は陣中央にどうやって誘い出すかである。
    「ならば、私が妖異を捕まえよう」
     ここでまさかの名乗りがあった。江澄である。
    「怪我してんのに何言ってんだ」
    「捕縛に紫電ほどうってつけの宝具はあるまい。縛仙網では破られるぞ。右腕は使えるのだから、紫電は扱える」
     誰もが江澄を止めようとした。だが、彼の言うことはもっともだった。
    「ほかに縄縛のできる宝具があるか?」
     江澄の問いかけに答える者はない。沈黙の後、藍曦臣が「それならば」と手を上げた。
    「江宗主は私がお守りいたしましょう」
     話はまとまった。
     魏無羨は最後まで不満を隠さずにいたが、当の江澄が気にしていない。そればかりか、「お前が早く陣を引けば問題ない」と言う。
    「最速でやるけどな! お前はいつも無茶をしすぎだ」
    「お前にだけは言われたくない」
     軽口を叩き合う二人を見て、藍曦臣はため息を殺した。
     江澄にとって、優先されるべきは民の安寧である。妖異が姑蘇を出れば他の地に被害が及ぶ。雲夢は遠いが、そこに至る可能性は否定できない。
     しかし、藍曦臣には江澄の安全のほうが大事だった。叶うのであれば、この宿に監禁してでも、彼が狩りに参加するのを阻止したい。宗主としては絶対に口に出せない本音である。
     藍曦臣が弟を見ると、視線が交わった。
     藍忘機も同じである。
     大切な人だからこそ、安全な場所に隠しておきたい。大切な人だからこそ、彼の思う通りにさせてあげたい。
     守ると宣言したのはそのためだ。
     
     一行はすぐに食事を取った。その後、止む気配のない雨の中を山まで進む。包囲が完成する頃には夕刻といっていい時間になった。
     日が差さないせいで、暗くなるのが早い。
     山中は、ここにだけ嵐が来たような荒れ様である。
     魏無羨が陣を引きはじめると、囮役の仙師たちが空に上がる。強風の中でも御剣の術を操れる手練れである。
     猾猿はすぐに姿を見せた。誰が己を閉じ込めているのか、察しているのだろう。風は勢いを増し、二人が地に落ちた。
     その間に江澄と藍曦臣は山頂へと向かう。
     はじめは藍曦臣が先を歩き、飛来物を朔月で叩き落としていたが、途中から倒木がひどくなった。
    「これでは先に進めんぞ」
    「晩吟、つかまってください。朔月に乗ります」
     藍曦臣は江澄の肩を抱きかかえるようにして、剣を抜いた。朔月は主人の意図を汲み取り、二人を乗せて浮かび上がる。
     幸い、木という木が地面に倒れ、頭上は開けている。朔月は倒木を越えて、あっという間に山頂が見えた。
    「曦臣!」
     江澄は声を張り上げた。宙に飛び上がった猾猿が二人を見ている。
     直感だった。
     紫電を放つと逆巻く風とぶつかった。
    「降ります」
     言うが早いか、藍曦臣は江澄の腹に腕を回して飛び降りた。江澄の悲鳴は風音が消す。
     しかしながら、藍曦臣は江澄を抱えたまま、しっかりと足を地面につけた。
    「あ、あなたは、意外と無茶をする」
    「そうですか?」
     きょとんと見返されて、江澄の頰が引きつった。藍曦臣は見かけよりも力技を好むのかもしれない。
    「それよりも、どうしますか」
     江澄は地面を跳ねる猾猿を見据えた。
    「曦臣、五で奴に隙を作れるか」
    「問題ありません。朔月!」
     一、二、で朔月が藍曦臣の手に戻る。三、で構え直し、四で再び猾猿へと剣を撃つ。
     五。
     猾猿は切先を避けて、大きく跳ねる。その足に、江澄の紫電が絡みつく。
     江澄はぐいと紫電を引き、猾猿を地面に叩きつけた。
     この世のものとは思えない咆哮が上がる。
     猾猿を中心にして旋風が起こる。
    「晩吟!」
     江澄はしっかりと紫電を握りしめた。藍曦臣は江澄を抱える腕に力を込めた。
     ここで離したら、きっと命はない。
     藍曦臣は目の端で、倒木が風に浮き上がるのをとらえた。
    「いけない」
     とっさに江澄を抱え込んだ。
     鈍い大音と、背中への衝撃。
     一瞬、視界が真っ白になる。
     倒れるわけにいかない。守ると誓った。
     藍曦臣は両足を踏み張り、金丹から仙力を全身に巡らせる。
    「朔月」と呼べば右手に剣が戻る。大きく振り抜き、仙気で旋風を切り裂いた。
    「くそっ」
     腕の中で江澄がうめいた。
     紫電はビンと張り、その先で猾猿がもがく。
     今は力が拮抗しているが、次に旋風を受けたら耐えきれない。
     江澄は叫んだ。
    「早くしろ! 魏嬰!」
     その瞬間、山中に光が走った。陣から這い伸びた光紋が猾猿へと絡みついていく。
     猾猿の咆哮は続く。だが、もはや旋風は生まれず、風の勢いも弱まりつつあった。
     江澄は紫電から力を抜いた。
     どさり、という音がした。
     藍曦臣が地面に倒れ伏していた。
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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
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     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
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     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
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    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
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    takami180

    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    sgm

    DONE猫の日の曦澄。
    ひょんなことからイマジナリー(霊力)猫耳と尻尾が生えて猫になった江澄。
    何かとご都合。
    他作リアクションありがとうございます!!
    「魏公子。これは、一体……?」
     藍曦臣は目の前のことが信じられず思わず隣に立つ魏無羨に訊ねた。
    「見ての通りです」
    「見ての、通り」
    「ですね。見ての通り、江澄の奴、猫になりました」
    「……猫」
    「猫、ですね」
     笑いを含んだ魏無羨の言葉に藍曦臣は改めて日の当たる場所で丸くなっている江澄を眺めた。薄っすらと透けた黒い三角の獣の耳が頭に。やはり薄っすらと透けた黒く細長い尻尾が尾てい骨の当たりから生えている。猫と言われれば確かに猫だ。
     藍曦臣はさらなる説明を魏無羨に求めた。

     昨日から藍忘機が雲深不知処に不在だからと蓮花塢に行っていた魏無羨から急ぎの伝令符が来たのが、卯の刻の正刻あたりだった。
     藍曦臣は起きていたが魏無羨がその時間に起きていることなど珍しく、受け取ったときは驚いた。よほどのことが蓮花塢であったのだろうと慌てて急務の仕事を片付け、蓮花塢に到着したのが午の刻になったばかりの頃。案内をされるままにまっすぐに江澄の私室に向かい、開けなれた扉を開けた藍曦臣の目に飛び込んできたのは魏無羨の赤い髪紐にじゃれて猫のように遊ぶ江澄の姿だった。
    3340

    sgm

    DONE酔って陽気になって「渙渙」って呼ばれたい兄上(馬鹿力)
    Qにはいつだって夢が詰まってる。
     誰だ。この人に酒を飲ませたのは。
     ……俺だな。
     今まさに自分の身に降りかかっている惨状に溜め息を吐いて、江澄は手にある酒杯を煽った。いっそ自分も酒精に理性を奪われてしまっていれば楽になれただろうに、真後ろに酔っ払いがいる状態では、酔うに酔えない。むしろ酔いもさめた。
     卓の上に散乱した酒壷と元は酒杯だったものの残骸を見つめて眉間にしわを寄せた。途端、後ろから伸びて来た指が、ぐりぐりと眉間の皺を伸ばそうと押してくる。
     痛い。この馬鹿力め。
     怒鳴る気すら失せて、煩わし気に手を払うと、くすくすと楽し気な笑い声が聞こえてくる。
    「おい、藍渙。そろそろ放してくれ」
     椅子に座り、膝の上に自分を乗せて後ろから抱きかかえている藍曦臣に無駄だと分かりながらも声をかけた。顎でも乗せたのか、ずっしりと肩が重くなる。
    「なぜだい? こんなに楽しいのに」
    「そうか。あなたは楽しいか。それはよかった。だが、放しても楽しいと思うぞ」
     俺は楽しくない、という言葉は辛うじて飲み込んだ。
     藍曦臣は酒精を飛ばして水のようにして飲むことができる、と魏無羨から聞いていたため、藍曦臣が珍しく茶ではなく、江澄の酒壷 3901

    takami180

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     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    巡(メグル)@20216575z

    DONEわかさんのスペースでお話されていた病弱江澄のお話の一部設定を使わせて貰ったお話。
    ①出会った時、澄は曦を女の子と勘違いする
    ②江澄が病である
    ③澄が曦の元を去る
    ④最後はハピエン
    上記四点を使わせていただきました。
    本家のお話はわかさんに書いていただくのを楽しみにしてます。

    宜しければ感想お聞かせください🙏
    病弱江澄ss曦澄おち「もうここには来んな」
    「どうして?そんな事言わないで、阿澄」
    「どうしてもだ」
    「明日も会いに来るから」

    そう言って帰って行った彼。
    綺麗な顔を歪ませてしまったけれど仕方がなかった。

    小さな頃の約束は果たせそうにない。
    ごめんな。




    初めて藍渙…あの頃は阿渙と呼ばれていた。
    出会ったのはココ。
    このクラス10000の清浄な空気に囲われた箱庭みたいな小さな世界だった。

    俺と同じ病の弟のドナーになるためにこの病院にやってきた彼。
    小児病棟の端っこで他の患児達と混じることなく一人でいた彼はとても可愛らしい顔に不安を滲ませラウンジのベンチに座っていた。

    「忘機…」
    それが弟の名前だったらしかった。

    何となく気になってしまった俺はその子に声をかけてしまっていた。今から思ったら笑えてしまうけれどその時俺は一目惚れをしてしまったのだった、彼に。
    1625