Redline 第三章 志保が捜査協力を行なったその日の夕方。会議室にひょっこりと顔を出したのは工藤新一だった。今は東都大学の大学院へと進んでいる。
そんな彼が持ち込んだのは、捜一が追っていた原宿で起こった無差別殺傷事件、通称『原宿の悪夢』で知り得た捜査情報だった。もちろんそんなものは公安がすでに押さえているし、今さら目新しいものもない。しかし彼は志保へと解析の依頼を持ってきたのだ。
『こっちなら販路を洗えるんじゃないか』と。
確かに、最初に公安が志保に解析を依頼したそれはVRゴーグルとリタリンもどき以外の物証はなかったが、新一が持ち込んだそれら、には販路を洗えるだけの材料が揃っていた。
一台のラップトップだ。それが、新一が志保へ解析を依頼したい代物だった。
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