あやかし。
まだ日本には妖魔や鬼といった人と異なるモノ、だが人に幸運や吉兆をもたらすモノたちの名を知らず、そう呼んでいた。後に大陸からフェアリー…妖精の意味の言葉を得ても、人々は感謝の意を込めてそのモノたちをあやかしと呼び大事に祭ってきた。
あかやし達皆は気まぐれ。けれどもどういうわけか人間の事を好ましいと思っているらしい。友好的で、時に愛を振りまく、あやかしというモノたち。彼らが人へ与える異能力をギフトといい、人間にはない能力を得た者はそれを人のために使う。するとあやかしは喜ぶ。といった具合だ。
それは本当に贈り物なのか?
それとも猿に棒を与え柿を取る様子を喜んで観察しているようなものなのか?
どちらかどうかは、あやかしとあやかしに気に入られた人間にしか解らない。
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