Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    清(せい)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    清(せい)

    ☆quiet follow

    ナチュラルに付き合っててナチュラルに同棲してます。
    タル鍾です。


    短い。

    #タル鍾
    gongzhong

    たしかに迂闊だったかもしれない。

    股間に同じものをぶら下げた恋人に
    女性の姿にもなれるのか、なんて。
    聞いてしまったのだ。



    旅人が受けた璃月の民からの依頼を手伝ったあと、
    帰りの道中。
    うっかりそんなことを聞いてしまった。



    言い訳をすると、
    本当に、ただ気になっただけなのだ。
    女であって欲しかったとかそういうことではなく、
    純粋に、神という存在への興味だった。

    だが、まあ、そりゃそうか。
    機嫌を損ねてしまった。

    財布というものを持ち歩くのを忘れがちなこの男は
    ルーズだとか大雑把などといった類のものではない。
    慣れていないから、凡人の感覚がわからないから、
    結果的にそう見えてしまうだけで、
    実のところは繊細で、常に物思いにふけっている。



    「女性の姿にも、なれるが…お前は女性の方がいいのか。」


    そう言って黙りこくってしまった。
    風に吹かれた長髪が、切なげに揺れる。


    軽々しく口にしてしまったことを後悔している。
    目の前の恋人は真正面から受け止めて、あまりにも真剣に悩むものだから。



    「鍾離せんせ、そんなに真剣に受け止めないでよ〜 ただの興味だよ。女がいいとか、そういうことじゃなくてさ。」


    思いを伝えたのは自分からだった。
    好きなのは自分だけなのか。
    先生はどうして俺と付き合ってくれているんだろう、そんなことを考えたこともあった。

    それが、こんな形で気づくことになるなんて。
    眉一つ動かさないけれど、内側から滲み出る悲しみの色。

    悲しませて気づくなんて…。

    好きになったのは「鍾離」と呼ばれるこの人で
    他でもない。
    彼が男性として生きてきたこの6000年を否定するつもりもないし、
    今までに成し遂げてきたこと、守ってきたもの、
    彼自身を、尊敬している。




    顎に手をあてて、いつもの考え込む姿。
    その腕をとって、そっと手を握ってみる。
    嫌がるかと思ったが、握り返された。

    俯き気味だった顔がこちらを向いて、
    やっと目が合う。



    「ごめんね、ただの興味だから、そんなに悩まないで。俺は、鍾離先生だから、好きなんだよ。」



    「興味」



    「そ。先生のことを知りたかっただけなんだ。
    あれもできるのかな、できないことってなにかな、好きなものはなんだろう、って、ね。」





    「俺は自分の姿を変えれる。やったことはないが、女にもなれる。海産物は苦手で食べれない。
    公子殿が好きだ。」





    どこまでも真っ直ぐな人だ。
    1ミリも照れを感じさせず、真正面から好きだなんて言われて、顔が熱くなる。




    「あはは、そういうところが好きだよ。
    何も気にしなくていいから、そのままでいてよ。」



    「ああ、わかった。」それだけ言って握った手をほどいて踵を返す。
    夕焼けに照らされたその表情は、先程までとは打って変わって微笑んでいるように見える。




    「帰ろう」



    オレンジ色に染まった空に、溶け込んで消えてしまいそう。
    少し風が吹いて、長い髪がさらさらと靡いた。










    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    おまけ?









    「俺が女になったとして、どうするつもりだったんだ?」



    ジャケットを脱いでソファで寛ぐ。
    読書に勤しんでいるかと思えば、ふいに問われた。



    「んんー? あ〜 深く考えてはいなかったけど、
    そうだね、まずは子作りかな♪」


    我ながら気持ち悪いと思う、ニヤニヤと口角が上がっているのが自分でもわかる。




    「………子供が欲しいのか?今のままでもできるぞ」



    「え?」



    「試してみるか?」




    「!?」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👍💕💕💕💕💕💕😭🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    K_0NN0_

    DOODLE踊るタル鍾と同軸の話。内容は繋がっていますが単体でも読めるはず。前作の踊る二人の話→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15901251
    踊り明かせよ月影にて 今は雲来の海に数多の客船が揺蕩う夜半。とりわけ豪奢な装飾の船舶に響く音楽を、雪国の武人はどこか遠い気持ちで口遊んでいた。部下の一人が落ち着かない様子でこちらへと向ける視線がむず痒い。心配しなくても直に戻るから、と後ろ手を振ればなおも恐縮したように身体を硬直させている。そう気を揉まずとも重客の接待を放り出しはしないのにと、自身の信用の薄さを溜息混じりにタルタリヤは嘆いた。
     今宵は晩餐会。あらゆるものから切り離された遠海で北国銀行の賓客を招いた夜会が催されている。表向きは銀行の名を借りているが、実際に招待されているのは誰もがファデュイを陰ながら援助している富裕人ばかり。スネージナヤの投資家からフォンテーヌの卸売商、スメールの老学者に璃月の海運業者等々、老若男女を問わずテイワット各地で名を上げるような資産家の面々が一堂に会していた。その親愛なる客人を真心込めてもてなしながら従前の支援に感謝の意を示しつつ、今後も良い関係を築けるようにと一層の援助を慎み深く促す。これこそが今回、執行官であるタルタリヤに下された命令であった。
    4286