マカサイ小話デトロイト郊外にある新生ジェリコ。
政府との幾多もの協議の末にコミュニティ形成を許可されたこの地で、俺達は他にもまだまだ山積みの問題に取り組んでいた。
「マーカス、今いいか?」
考える事が多過ぎて、オーバーヒートしそうな頭を冷やす為に……なんて言い過ぎか。
リフレッシュを兼ねて、ジェリコ内の様子を見て回っていたところをサイモンに声を掛けられた。
俺は短くああ、と答え愛しい彼の話に耳を傾けようと向き直る。
オフの日に関する甘い話題、ではなく十中八九、いや完全に俺達アンドロイドにのし掛かるいくつもの課題についてだろうが、彼のパートナーであると同時に俺は皆のリーダーでもあるのだ。聞かねばなるまい。
「先日言っていた発注リストと、それに関連した契約書と、あとここに住むアンドロイドからの意見をまとめておいた。後で目を通しておいてくれ」
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