狩人の掌中楽屋というものは、現場の雰囲気がそのまま反映されていることが多い気がする。
まるで自宅のように安心して寛げる空間を演出しているところもあれば、一時の待機場所だからと、あからさまに簡素でよそよそしい雰囲気の場所もある。
今日の現場は前者だったが、こはくはかえって落ち着かなかった。
──それもそのはず、一見して落ち着ける空間を演出している室内には、さりげなく見つかりにくい位置にカメラが数台、密かに設置されていた。
極力カメラを意識しないよう、なるべく自然に振る舞ってはいるつもりだが、その素振りだけでひどく気力を使う。
──まったく、品のない趣向やわ。
内心でひどく呆れながらも顔には出さず、こはくはこの仕事を受けた経緯を振り返る。
3799