梅干の味〜酒の酔い本性違わず どこにでもハイエナのような輩というのは入り込んでいて、この日、天人と商工会関連の外交を主としたパーティに警備で駆り出されていた土方に、突然話しかけてきた男がひとりいた。
「あのう、土方十四郎さんとお見かけしましたが、アレですか、お仕事ですか、いやー大変ですねえ真選組も!」
挨拶も何もなく遠慮なしにそんなことを捲し立て始めた男を、ちらりと視線で撫で、土方は何事も無かったように右手に持ったグラスに口をつけた。大規模コンベンションが可能なホテルのホールの一室で、立食形式のパーティのため、土方も私服でこの場に臨んでいる。本日のドレスコードはインフォーマルで、土方は隊で用意されたブラックスーツ着用であり、一応、参加者の中に埋もれているつもりであったが、そんな場所でもめざとい奴はいるものだ。
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