いい兄さんの日/ガイディル噴水のある広場を歩く。
空は晴れ渡り時折吹く風が心地好い。片手には紙袋、もう片方で余ったモラを指で弾いては遊ぶ。
クリプスは、ガイアやディルックが手伝いをするとそれに見合う小遣いをくれる。これは教育の為であり、労働の大変さやモラの使い方を学ぶことを目的としている。勿論、必要なものは買って貰えるので無理して手伝う必要も無いのだが、ガイアはこの束の間の自由が好きだった。
モンドは自由の国、といわれる。
『自由』とは何を持って自由かと問われると難しいが、朝っぱらから酒場で飲んだくれが陽気に詩を口遊みながら広場を往来していても咎める者がいない程度には自由だ。むしろそういったことを楽しむ人種の方が多いだろう。
…まあ、あまり派手にやれば騎士団にお世話にはなるだろうが。
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