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    mcdk_game

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    日和と凪砂が傷ついているとき。
    この後結局この問題はスーパービッグラブで解決するんですけど
    日和が自分のこと嫌いな感じで書いているので気を付けてください

    きみのことが大好きだよ空に流れた星に、そっと願いを込めた。
    流れる星には、空にいる間に三回願い事を唱えると、願いがかなうという言い伝えもある。そんな願いを、人々はずっとずっと乞い続けている。

    証明しているのだ。
    願い事は、叶えたいものが重たければ 重たいほど、流れる星に追い縋ることなく、間に合わなかった願い事の言の葉は中途半端なままぼろぼろとこぼれていく。
    叶わないその願い事を、日和は噛みしめるのだ。

    重たい、重たいその願い事。
    叶えてはいけない、願い事。
    叶うわけない、願い事。

    ずっとずっと、持っているしかないのだ。持っていなくてはいけないのだ。この鍵を放す事が出来る唯一の日和自身への足枷を。もう一度、しっかりと付けなおす。忘れるな、自分の咎を。捨てるな、自分の持っている罪を。何があっても、このことだけは―――。ぼくは、絶対にこの言葉を、あの子に伝えてはいけない。

    「日和くん?どうしたの?」

    もぞ、とシーツを泳ぐように、凪砂の足が白い布の上を滑る。白と白の相似ずる存在に日和は一瞬目が眩んだ。その白い足に、再度唇を寄せたくなる。そして何度も口づけて、甘く噛みついて、赤い痕を残したい。

    凪砂の首筋に残る所有印に目を移し、ここまで既に鬱血痕を残しているのに、今度は足にも痕を付けたいとはどういうことなのだろうと有り余る欲望に日和は自分で自分に苦笑しか浮かばなかった。

    こんな行為も、なんで行っているんだ、と聞かれたら慣れてしまった作業のようなものだ、と情を交わしていない相手であれば答えただろう。
    日和が出来ることは、愛を告げて、抱きしめて凪砂の隣にいることだ。守って、そしてそのまま平行線をたどり生きて行くことだ。
    こんなことをしていて、当の凪砂はどう思っているのだろうか、と思考を巡らせて………考えることを辞めた。

    こんな行為は本当に排他的な事だけれど、凪砂の事だ、おそらく日和には何か考えている事があると思っているのだろう。その気持ちを日和自身が利用しているようで、吐き気を催す程、どんどん日和は自分が嫌いになっていく。どすぐろい何かがまとわりついて、生きることすら一瞬億劫になった。
    幼い頃は、本当に凪砂のことだけを考えて、世界すらそのために回っているとすら思った。でも、それを望み、動いていたのは日和であり、壊したのも、日和なのだ。

    日和は思う。
    凪砂の未来を見ることが出来る超能力を持っていればよかった。そうすれば、凪砂はもう少しでも幸せだったかもしれない。日和も、もう少し楽に生きられたかもしれない。これが栓無き事だったとしても、そう思いたくてたまらない。それほど、日和は渇望しているのだ。凪砂が幸せになることを。凪砂に「恋」を「乞う」ことを。


    「日和くん?」


    何度問いかけても口を開かない日和を訝しく思ったのだろうか、隣でシーツと戯れていた凪砂が心配そうにこちらを見つめているのが漸く日和の脳内にまで流れ込んできた。

    ごめんね、とそっと日和は凪砂の頭に触れる。細い絹糸のような銀の髪は日和の手に触れ、ふわふわと空気を孕むように動き、日和の手をそっと包み込む。まるで、凪砂に包まれているような錯覚に陥る程、凪砂の髪の毛は心地よかった。

    さわ、と窓から流れてくる風は、初夏にしては肌寒い。行為の後、服も着ることなくぼうっと時を過ごしていたが、このままでは風邪をひいてしまう。凪砂の腰のあたりにひっかかっているシーツをぐい、と上にまで引き上げた。わ、なんて声が聞こえるが、そんなことは関係ない。
    そっと触れる凪砂の肌は、事後の熱を未だに孕んでいるかのように少し熱を持っていた。顔も少しほてっていて、少し赤い。なんだかいつもよりも「かわいさ」が際立って見える。

    その行為をじっと見つめていた凪砂は日和に視線を移し、じぃ、と日和を見つめる。その煉瓦色の瞳が、まるで鏡のように日和を映した。まるで、日和自身の心を日和に写しているかのように。きらりと瞬いて、日和がどれだけ汚れた人間かをありありと表しているようだった。それを言い逃れできないから、自重気味た笑いを心の中に残すことしかできないけれど。心の中の日和が、呟く。おかしいな、上手く笑っている方法思い浮かばない、と。

    こちらを見つめ続ける凪砂は、だんだんと心配そうな顔を浮かべて行った。煉瓦色の瞳がまるで少しだけ濁るように、ゆら、と揺れる。その瞳を元に戻したくて、日和はとっさにもう一度凪砂の頭を撫で、頬に唇を寄せた。

    あの時は幸せで幸せで。このままの幸せを風船のように膨らませていられたらななんて思っていた。初めて紹介されたその瞬間。日和は凪砂に恋をしたのだ。そうして、ずっとずっと一緒にいようと約束をしていたのに。
    家族に諭され、勝手に作り上げられた「凪砂の幸せ」のため、凪砂を突き放した。
    再開して、もう一度あの楽園を作ろうとしたのに出来上がったものは全くの別物で、出来上がったいびつなものに、ずたずたに傷つけられてしまった。

    結局、その時の傷で凪砂と日和の幸せの風船は空気が抜けて、ひしゃげてしまった。割れることもなく、ふにゃりと力が抜けて、膨らませることもない、そんなもの。もう割れてしまえば諦めもついてしまうのに。幸せの容れものは、まだ萎んだだけなのだから、余計にどうにかしたくなる。
    ああ、やはり凪砂と一瞬たりとも離れるべきではなかった。こんな思いを抱いて、たった少しの後悔の傷に心傷つかされるくらいならば、その少しの傷さえ生まれえないようにすればよかったのだ。
    日和は凪砂を思いきり抱き締めて、首筋に顔を埋めて瞳を閉じ、心をこめた。

    輝く、銀の星。
    日和の、一番星。
    ああ、この一番星がどうか。

    日和はいつまでも言わないだろう。このどす黒い欲望も、願望も凪砂に降りかかるくらいなら、そこに支配される嬉しい思いも、楽しい思いも知らなくていい。
    日和が願うのは、凪砂の幸せ。それだけだ。

    もしも、あとひとつ。あとひとつだけ我儘が言えるのならば。
    凪砂の日和への気持ちが、愛でありますように。
    それだけを思って、日和は今日も軽い愛を吐き続ける。重たい重たい愛は、きっと風船が破裂してしまうから。

    ねえ、凪砂くん。
    ぼくは、君の幸せ望んでいるのに、ぼくは君を愛しているのに。綺麗じゃない愛がきれいな愛を超えてしまうほどに、君を望んでしまっている。
    この愛を君にいうことに、怖いという感情が生まれてしまったんだ。
    怖いと思って、がんじがらめになってしまったんだ。
    でも、それでもぼくのこの気持ちだけは。
    この想いだけは、ずっとずっと心に残して、そのまま。
    そのまま。捨てることなく生きることだけを、許して欲しい。
    そうして、当然のように君の隣にいることを、許してほしい。



    凪砂くん。

    君を、幸せにできなくて――――ごめんね。
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