或る日の少年達の夜明け――――夢を見た。
空も、大地も、なにもかもが黒に染まる夢。自分が暮らすこの杜も例外なく、その色に塗り潰される。勢いを止めることなく、全てを塗り潰す。いつも見る、緑と青の鮮やかさが映える風景だけじゃない、自分を見守ってくれている者達、育ての親たる長老、そしてかけがえのない友人ですらも、その黒は容赦なく飲み込んでいく。彼等の表情も読めぬまま、助けようと伸ばした手はむなしく空を切って、何一つ掴めはしない。そうして、視界の全ては黒に染まる。上も下も右も左も分からない。叫んだ声は響くことなく無音と化す。次第に意識は薄れ、沈みゆく。
――何ができる?どうすればいい?
――何もできない。どうすることもできない。
僅かな抗いから生まれる問いと答えが、繰り返し脳裏を行き交う。
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