ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚となっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
そんな心配が頭の中を駆け巡る。
だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
「おかあしゃま、あのね……」
そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
「そうよ、カラスさんが遊びに来てくれたのよ」
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