自分を大事にしてほしいのに 昆虫博士の研究室にて、大量の昆虫図鑑やら資料を開いていた獄原は隣の王馬に視線を移した。いつもなら暇だと喚いたり、ゴン太の見ている本を一緒に見ようと覗き込んできたりとするはずの王馬は今日はずっと静かなままだった。不気味とまでは言わないがそれが獄原は不思議でたまらなかった。
「…王馬くん?」
「……」
いつもなら反応をすぐくれる王馬はどこか上の空でぼうっと天井を眺めている。
「…王馬くん?」
「……」
もう一度名前を呼んでも反応はない。ただ、ぼうっと天井を眺めていて、そのままどこかに消えていってしまいそうな感じがしてしまい思わず獄原は王馬の両手を掴んでいた。
「王馬くん!!!」
「っわ!…な、んだよ…ゴン太、驚かせるなよな〜!」
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