約束 南の国の魔法使いたちの新しい任務が決まったと聞きつけ、ルチルとミチルに行くなと言ったミスラの提案は、今回も受け入れられることなく却下された。
ノックもそこそこに部屋に押しかけられて荷造りを邪魔されたルチルは、戸口に立ったミスラを振り返り、またかという表情でため息をつきながら返事をする。
「もう、ミスラさんてばまたそんなこと……。心配してくれるのは嬉しいですけど、私たちの事をもっと信頼してくださいって何度も言っているじゃないですか」
「今回の件はフィガロの診療所辺りのことなんだから、フィガロに任せておけばいいでしょう? どうしてあなたたちまで行く必要があるんです」
「被害のある地域は私たちの生まれ育った街の近くだし、知り合いも巻き込まれているかもしれないんですよ。私たちだってお手伝いしたいんです」
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