投げかけられた問いは突然だった。
「敬一くんはさあ、手術見学行かないの?」
いつものメンバーで遊びの約束をして、珍しく叶が一番乗りだったその日、空は雲一つない快晴だった。燦燦と降り注ぐ陽光を浴びながら、叶は椅子の背もたれに身を持たせかけながらオレに問いかける。
「一回行ったけど、それきりだな」
「なんで? おもしろいのに」
叶はこてん、と首をかしげる。心底不思議そうに。
「中身ったってただの肉の塊だろ。村雨みてえにそこから心の動きは読み取れねえ。オレが未熟なだけかと思ったけど、どうも違いそうだ」
見学に行ったあの日の「患者」は40代男性の債務者で、村雨はそいつの開腹を行いながら嬉々として臓物の所見を述べていた。手術の前には「患者」からの人生談を、手術が始まってからは村雨の解説を真面目に聞き、目をかっぴらいて内臓を見た。けれど、
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