合鍵温めました「今日きみの家に行ってもいいかい?」
「ダメや言うてもいっつも突撃してくる奴が、何考えとるんや、言え」
「誕生日って知ってる?」
「おん、今日やな、お前の誕生日」
「えっ」
知ってたの、と言うはずの声が喉で引っ掛かって止まった。
一月十一日。
休み明けにクラスで祝われて、隊の皆にも祝われて、さておめでとうの一言すら寄越さない水上に文句の一つ彼の机に落書きしてやろう、そう未練がましく3Cの教室まで行ったら、水上が一人、居残りのようにしてそこに座っていた。
長い脚を行儀悪く組んで、机に肘をついている様が妙に絵になっているのすら憎らしい。
王子の口元がほんの一瞬悔しそうに歪んで、それからわざとらしいまでの綺麗な笑みを浮かべるので、(コイツはほんまに顔のええやっちゃな…)と水上は思った。
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