もちろんその方がオレにとっては都合が良い……そのはずなのに、何故かやたらとイライラした。
「警察官が、善良な市民を騙していいのか?」
「騙してないよ」
「アァ?」
「だって、カップルになってくれなんて、好きな相手にしか言えないだろう?」
じっとオレを見据えるルークの、耳のふちが僅かに朱く染まっている。抜けるような白い肌を、鮮やかに彩る色に強く引き付けられた。
思わずルークを見つめ返すと、目線がうろうろ泳ぎはじめる。少しずつ肌の赤みが増して、やっと合った視線の先の緑はわずかに潤んで見えた。
「だから、君しかいないんだ」
いつしか頬まで真っ赤に染めて、ほとんど吐息で出来た呟きが転がる。視線をかわして目を伏せている、その様子は物慣れないくせに充分人を誘う色を帯びていた。
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