バーで出会い仲良く恋愛の話をする杉と尾のお話の続き18アパートを出ると日差しが輝いていて、尾形さんと心を交わらせるにはぴったりの天気だった。待ち合わせは電車に乗って大きな公園のそばにあるカフェ。二人の気持ちは昨日通じ合ったばかりで、そのことを思い出すと頬がむず痒くて、そわそわして、跳ねたり叫んだり駆けたりしたくなってしまう。昨日の夕方はスマホ越しにおちょくられ、そして夜にはあんな燃えるような痴態を見せつけられて、信じられない事ばかりで、俺の頭は沸騰したまま熱を逃せていない。早く尾形さんにこの熱を移してふらふらの身体になったところを抱きしめたい。こんなに浮かれて、俺はまるでガキみたいだ。腑抜けた自分を諫めるべく人でごった返す土曜日の狭いホームに立つけど、みんなに自慢したくてにやけてきてしまう。今日だけは駆け込み乗車を狙ってぶつかってくるやつも許してやるかと寛大な気持ちになる。
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